漫画家の安野モヨコさんの描いた漫画「監督不行届」を読んでみました。
こんにちは! 松田軽太です。
さて、本書の「監督不行届」ですが、漫画家の安野モヨコさんと庵野秀明さんの結婚生活を描いたエッセイ漫画です。
著者は安野モヨコ
そしてこの漫画を描いたのは安野モヨコさんです。
ご存知の方も多いでしょうが安野モヨコさんは「働きマン」などの大ヒット作があります。そういえば管野美穂さんが主演してドラマにもなりましたね。
さて庵野秀明さんといえば、エヴァンゲリオンとシン・ゴジラの生みの親なのでもはや
知らない人の方が少ないくらいの日本を代表するクリエーターですね。
しかしこの「監督不行届」という作品は普通のエッセイとは一線を画しています。
一般的にエッセイ漫画ってほのぼのとした日常が描かれるワケですが、「監督不行届」では一般的にはなかなか見られない「ディープなオタクの世界」を垣間見ることができます。
最近では庵野秀明さんはトヨタのサイトにも出演されて、ちょっとオシャレな感じになってますが「監督不行届」を読むと実情は随分と違うようです。
「監督不行届」では第一話のエピソードから「え?」と頭の中に「?」マークがたくさん浮かぶエピソードが展開されます。
結婚式の洋服の試着では必ずウルトラマンのポーズをとるというのです。
夫婦で一緒を買いに行ってご主人が試着室でウルトラマンの変身ポーズをはじめたら、無言で奥さんはその場を立ち去るのではないでしょうか?
その他にも奇行をざっと書き出してみます。
・漫画によく出てくる書き文字の擬音を声に出して言う
例:ハフーン、ぎくっ、うるうる、ガガーーーン、ピキーーンなどなど。
・特撮やアニメのDVDボックスが大量にあり一晩中、一揆見する。
・食玩のオマケが部屋中に散乱している。
・自動車の中ではアニメソングを大音量でかけて、運転しながら大合唱する。
・3万円以上する仮面ライダーの変身ベルト(大人向け)を買って喜ぶ。
・電車のNゲージを部屋中に走らせて一日眺める。
・お風呂は何週間でも入らなくて平気。洋服も同じ服をずっと着て、
ボロボロになったら捨てる。
と、こうやって書き出してながら「スゴイなぁ~」と思いますね。
そしてページをめくるたびに知らないオタクワードがたくさん出てきます。
作中では、突然、おちゃめ神物語コロコロポロンの歌を歌いだしますが、なかなかついていけません。
しかしこの本の親切なところが、随所に出てくるオタク用語を巻末に2万字にわたり詳細に解説してくれています。商業出版社としての祥伝社の良心を感じます。
庵野秀明とは何者なのか?
この本を読んでみようと思ったきっかけは「庵野秀明とは何者なのだろう?」と思ったからです。
20年以上前に社会現象を巻き起こし、そして今現在も話題となっているエヴァンゲリオンや60年を経て新しいゴジラ像を提示した人物ですから気にならないわけがありません。
「監督不行届」を読むと実感するのが「あー、この人は本当に特撮や漫画やアニメが大好きだんだな」ということです。
日常生活でのすべての思考が特撮と漫画とアニメに結びついているのです。そして全力投球なので、時に壊れてしまうのでしょう。
自分で実写のウルトラマンになった
庵野秀明さんはアマチュア時代に自分がウルトラマンとなってとく撮影映画と撮っています。
しかも、ウルトラマンの着ぐるみを着ている演じているのではなく、ご本人がほぼそのままで巨大化しているのです。まるで進撃の巨人のようですが、あんなに禍々しくはありません。
試しにググってみたらありました。タイトルもそのまんまで「帰ってきたウルトラマン」です。
最初、見たときは「は??自分がそのままでウルトラマンなの?」と驚きましたが、しかし、よくよく作品を見てみるとこれがアマチュア時代の自主製作映画とは思えないクオリティであると気がつきます。ちゃんと特撮映画になっているのです。
ただのふざけたパロディ作品なんかではなく、ほんとに特撮愛に溢れた作品なのです。
課外授業ようこそ先輩 出会いをアニメで記録しよう
驚いたのはこの動画に出てくる庵野秀明さんは「監督不行届」の冒頭に出てくる姿とそっくりで笑ってしまいます。
この動画では子供たちにアニメを作る素晴らしさを教えています。
この企画で庵野秀明さんにアニメ作りを教えてもらった子供たちの中に、もしかしたら
これがキッカケでアニメーターになった人もいるかもしれないですね。
動画の中でスベリ台のてっぺんで仮面ライダーの変身ポーズを堂々と披露する姿が忘れられません。
アニメ版「監督不行届」
「監督不行届」がアニメになっていました。
しかしアニメ化したのは庵野秀明さんのアニメ製作会社会社「カラー」ではなく、鷹の爪団でお馴染みの世界一、動かないアニメ作品を作るフロッグマンとDLEでした。
このアニメ、漫画の世界をよく再現していて面白いです。
自分の夢に向かって純粋な人
これらの行動を表面だけ見ていると、社会的不適号者としか思えません。
しかし視点を変えると、社会常識にとらわれない純粋さの顕れなんだと思います。
特撮やアニメに対する純粋な思いがあるからこそ、シン・ゴジラのような傑作を生み出すことができたのでしょう。
安野モヨコさんがシン・ゴジラについてどう感じているのだろうと思い調べてみたらコミックナタリーにインタビューが掲載されていました。
やはりこういったインタビューにもお互いの創作活動を理解しあっている様子が伺えて興味深いです。
シン・ゴジラの仕事を請けるにあたり庵野秀明さんは安野モヨコに相談したそうです。
安野モヨコさんが心配したのは、それがゴジラであることです。
何しろ特撮界の神作品です。どんな作品になるにしろ批判も大きいことは想像ができます。
しかし庵野秀明さんはどうしても引き受けたかったのです。
それは特撮博物館の館長を務めたことで特撮愛が大きくなったのでしょう。
世界を変えるような創作をするような人は、このくらい自分の想いに一直線でなくては実現できないのかもしれません。