ここ数年、「働き方改革」についてのニュースを見ない日がないくらい、僕たちには馴染みのある言葉になりました。
こんにちは! 松田軽太です。
例えばソフトバンクでは週休3日制が導入されたり、サイボウズ社ではリモートワークが当たり前だったりと、確かに今までの働き方と比べると随分と柔軟に勤務できる会社も増えました。
しかし、その多くは情報サービス業に偏っているように思います。
例えば僕が働いている会社でも、昨年から「働き方改革を実現する」なんて会社方針が突然、掲げられました。
では、働き方で何か変わったのかといえば「水曜日は残業せずに早く帰れ」と総務が各部署を見回りして、会社から追い出すことくらいです。
勿論、その強制退社によって水曜日だけはみんな定時で帰されるので、前年対比で残業時間だけは減り、その結果として残業代が減りました。
総務課は「前年対比で残業代が減ったので、コストダウンと働き方改革を同時に実現した」と成果をアピールしています。
・・・でも、これって本当に働き方改革なのでしょうか?
そんなわけで僕自身が「働き方改革ってなんだろう?」と興味を持ったので、沢渡あまね氏と奥山睦氏の著書『働き方の問題地図』を読んでみることにしたのです。
しかし、読んでみたら自分の職場が問題だらけで絶句しました。
まず1ページ目から衝撃的な出だしで始まります。
「働き方改革」「ワークライフバランス」…そんな言葉がメディアで騒がれるようになりました。
ずばり、あなたにお聞きします。
あなたの働き方、変わってきましたか?
よくなってきた実感がありますか?
もちろん僕の答えは「NO!」です。
次に本書では7つの無慈悲を提示します。
①無慈悲なグローバル化
②無慈悲な少子高齢化
③無慈悲な家族問題
④無慈悲な育児問題
⑤無慈悲な女性活躍圧力
⑥無慈悲な雇用延長
⑦無慈悲な地球環境
これを読んで「あー、そっか!この7つの労働環境の変化に日本の職場が追いついていないんだ」と理解しました。
この本の素晴らしい部分は、内容が非常に平易に書かれており理解しやすい点にあります。
まずはグローバル化が取り上げられています。
これを読んだ時、正直なところグローバル化なんて楽天とかユニクロみたいな大企業だけのことで自分には無関係だと思ってました。
だって下町の中小企業にわざわざ外国人なんて就職しにくるわけがないし、それにベタベタの日本企業だから外国人なんて採用できるわけがないとタカをくくってました。
ところが僕が思っている以上に速く、労働人口は激減していくようです。
2013年12月時点での労働人口は7883万人ですが、2060年には4418万人にまで減少すると予想されています。働く人がほぼ半分になってしまうんです。
生まれてから働けるようになるまでは20年近くかかりますが、死ぬのは一瞬です。
ということは人が働けるようになるまで成長するよりも減るスピードの方が速いのですよね。だから労働人口はどんどん減っていくのですね。
問題は不足する人材をどうやって補うかですが、技術が進めばAIとロボットで補える時代も来るかもしれませんが、現時点ではそこまでは無理です。
そうなると現実的には外国人を雇って働いてもらうしかないわけです。
あと5年もしたら、自分のデスクの隣に外国人が座っているかもしれないですね。
こういう前提で本書では日本と海外を比較して働き方の常識の差を洗い出しています。
読んでみると「えー、こんなに違うんだ!」と驚きました。
日本は携帯電話だけじゃなく、働き方までガラパゴスだったんです!
自分の部署の役割がはっきりとは分からない
例えば管理課という部署があるとします。では、管理課の仕事ってなんでしょう?
「管理課なんだから、管理するのが仕事に決まってるじゃん」と思うかもしれませんね。
では何を管理するのでしょう。
「そりゃ、会社にはいろいろなことがあるから、いろんなことを管理するんでしょ」と、こんな回答になったりするんじゃないでしょうか?
これでは全然、具体性がないですよね?
でも実際のところ、こんな感じのフワフワ感が満載の会社って多いんじゃないですか?
アナタは自分の職場の仕事内容を明確に答えられますか?
仕事についての効率的な教育がない
そもそも役割が明確ではないのだから、仕事の教え方だってないことが多いでしょう。
結局、先輩や前任者のやり方をトレースするだけでは、そのやり方が正しいかどうかは怪しいところです。
これでは効率が悪いのは当然なので、だから「日本の職場は生産性が低い」ということになってしまうんですね。
雨にも風にも負けずに出社
近年、災害ともいうべき異常気象が頻発しています。
地震、台風、洪水、火山噴火、大雪、それらの災害に影響での大停電。
もはや日本は災害大国ともいえます。
しかし、日本の会社員は台風で電車が止まりそうになったら、会社の近所のカプセルホテルに泊まったりします。
なぜなら明日、きちんと出社するためです。
でもなんでそこまでしてワザワザ出社しなければならないいでしょう?
「会社員なんだから出社するのが当たり前じゃん」と思っているんじゃないでしょうか?
ところが海外では出社できない状況なら、リモートワークが当たり前なのです。
そもそも仕事をするって「会社に行く」ことが目的なんじゃなくて「仕事をする」ことが目的ですよね。
辞令には絶対服従
「会社員なんだから転勤は当たり前だよね」って言われています。
だって正社員は転勤辞令を拒否できないんだから、と。
僕の友人で実際にこんな転勤にまつわる話を聞きました。
「母親が病気なり一人では病院に行けないので通院を手伝わなくてはならないので、転勤は無理です」と上司に説明したら「それは個人的な問題だ。会社とは関係ない。転勤辞令に受け入れないなら、君は解雇だ」と言われたのです。
友人は泣く泣く転勤を受け入れました。
でも「個人の問題であって、会社の問題ではない」っておかしくないですか?
何故なら赤の他人の家庭の事情ならまだしも、会社が雇用した社員の事情なのだから、関係ないわけないハズです。
そんな無茶ぶりが通用していたのも、会社が社員の人生を責任もって背負ってくれたからですよね。
年功序列の賃金制度で、長く在籍していれば、会社が家族の生活を保証してくれる。
だから子供は転校し、奥さんは仕事を辞めて、ご主人の転勤についていくのですよね。
しかし現在は多くの会社に賃金は年功序列から成果主義に転換し、長く在籍しているだけでは給与は増えない時代になりました。
そう、給与だけは成果主義になったんです。
では成果ってなんでしょう?
そもそも、その部署の仕事内容も曖昧でハッキリしていないのに、成果もクソもないですよね。
ましてや人の寿命は年々延びていますが、必ずしも健康ではありません。
高齢になればなるほど、身体に不具合は増えていきます。
ということは親の高齢化による介護は、終わりがないんですよね。
子供は20年くらい経てば自然に育って巣立っていきます。
しかし医療の発達により、介護する期間はより長くなっていくでしょう。
そしてそれはある日、突然、訪れるのです。
昨日まで元気だった部長のお父さんが、ある日、脳梗塞で半身麻痺になったら部長は出社できるのでしょうか?
出社できないなら、会社を辞めなければならないのでしょうか?
それは会社にとって有益なのでしょうか?
これからの日本では出社至上主義の「私生活を犠牲にしてまで頑張ってます」根性は通用しないのです。
だったらテレワークを導入すればいいじゃない
「出社」という場所に縛られた働き方は、そろそろ改めてもいいのではないでしょうか?
といったことを言うと「バカなことを言うな。俺の若い頃は何があっても出社するのが当たり前だったんだ」と言って怒り出す人もいるでしょう。
そりゃ通信回線の速度が遅い時代じゃテレワークなんてできなかっただけです。
しかし通信回線の高速化によって、それができるようになったんです。
環境の変化を理解せずに、自身の経験則でしか考えられない人からすれば、テレワークなんてもっての他ということになります。
副業禁止は社員のため?
副業にしても厚労省が「禁止」から一転して「解禁」に舵をきりました。
とはいっても副業を解禁した企業はまだまだ少ないです。
しかもその理由は「副業を解禁して、社員が副業するようになったら、社員が加重労働になってしまい身体を壊す心配があるから」でした。
おいおい、ちょっと待ってよ!って言いたいですよね?
そりゃ心配してくれるのは有り難いけど、だからといって一律で禁止しなくてもいいじゃない?
副業したい人は副業すればいいんだし、したくない人はどうせしないんだから。
どうして社員に選択させる自由を奪うのか?
これはもうドSな縛り癖があるとしか思えません。
気合いと根性のスポ根型労働からの脱却
今までの日本企業は残業が多いことが会社に貢献しているという評価をされがちでした。
それは工場ラインでの流れ作業時代の作業時間という感覚なのです。
しかし事務やサービスや営業といった仕事では生産性をいかに上げるかが大切です。
つまり短い時間で多く仕事を高い質で遂行することが求められます。
そして管理職は、仕事の環境を改善して、労働環境を整備して仕事をしやすくする必要があるのです。
ネチネチと部下の提案書の揚げ足をとって、嫌みを言うのが管理職ではないのです。
当ブログでは他にも働き方についての記事を書いていますので、是非、お読みください。
もっと働き方や職場の問題の解決に興味がある方は下記の本をオススメします。