藤原和博氏の著書『10年後、君に仕事はあるか?』を読んでみました。
こんにちは! 松田軽太です。
10年後、君に仕事はあるのか?―――未来を生きるための「雇われる力」
- 作者: 藤原和博
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2017/02/10
- メディア: 単行本
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最近ではサンジャポのような情報バラエティー番組でも「近い将来、AIが人間の仕事を奪う時代になる」という暗い未来社会が話題になる時代になりました。
ほんの10年前までは「こるからはIT化で仕事が楽になる」という程度の認識だったのですが、ここ数年の人口知能の爆発的な進化で「人間の仕事がAIによって奪われる」という不安に変化したのです。
本当にAIによって人間の仕事は奪われるのか?
よく言われるのが「このままの速度でAIが進化していくと2045年頃にAIが人間の能力を超える」という内容です。
これは「シンギュラリティ」と呼ばれたりします。
ここら辺はまだまだ議論の予知があるようですが、全部が全部、人間の仕事がAIに奪われることはないかもしれませんが、ある特定の分野の仕事は奪われてしまうと考える方が自然でしょう。
例えば昔の映画やテレビドラマを観ていると、会社で働く女性社員の仕事がお茶汲みであったり、会議書類の膨大なコピー作業だったりします。
今どき、そんな仕事をしている人は少ないのではないでしょうか?
むしろ今だったら、そんな程度の仕事で正社員として身分保証されるのであれば、ラッキーと感じるかもしれません。
今だと流行りのRPAを導入して、定型的作業の事務処理を自動的に行うという会社も増えました。
RPAによって事務処理が自動化されたら、今までその仕事をしていた人はどうなるでしょうか?
もしも派遣社員のように非正規雇用であれば、契約解除となるかもしれません。
この場合、RPAによって仕事が奪われたということになります。
では、正社員であればどうでしょうか?
少なくともRPAに仕事を奪われたからといって、即座に解雇されるわけではありません。
その代わりに配置転換されて、他の部署で新たな仕事を行うことになります。
それであれば解雇されるワケではないので良かったですね。
・・・本当にそう感じることができるでしょうか?
もしRPAに奪われた事務処理を行っている人が、実は入社以来、10年以上もその仕事だけをやっていたらどうでしょう?
やりなれた定型的作業がある日、突然、亡くなってしまい、挙げ句の果てに望んでもいない別の部署や別の支店に異動されられて、やりたくもない新しい仕事を覚えなければならないのです。
そう考えるとRPAなんて甚だ迷惑な存在でしかありませんね。
と、まぁ、多少のイザコザはありながらも、実用化される分野からAIが人間の仕事を奪っていくハズです。
2020年代とはどんな時代になるのか?
著書である藤原和博氏は奈良市立一条高校の校長を務めておられます。
現在、高校生の生徒たちはAIとスマホの進化によって、親世代とは異なる価値観の社会で生きていくことになります。
スマホの進化によって変わる社会というのは、何もキャッシュレス化で現金を使わなくなるとかそういう個別の現象ではありません。
スマホを全世界の人が使うようになると、世界50億人の脳が繋がることを意味します。
2000年代にはWindowsの発売を機にパソコンが普及しましたが、全世界の人間全てが使っていたわけではありません。
パソコン普及の時ですら、あらゆる情報がインターネットで手には入ると言われましたが、スマホのように家でも外でも使われるものではありませんでした。
しかし、スマホ普及による革新的な社会の変化と進化の全貌はなかなか目には見えにくいものです。
甲攻機動隊でいうところの電脳の中だけが劇的に進化しているのですが、街中の建築物は再開発事業でも起こらなければ、あまり変わらないでしょう。
そして親世代はスマホで起こる革新的な進化には気がつかないと思った方がいいでしょう。
英語とプログラミングは重要になる
日本はそれから先の数十年は人口減少していく社会になります。それと同時に超高齢化社会が急激に進みます。
あと10年もすれば、人口の3割は高齢者になるのです。
となると日本はどうなるでしょう?
今でも日本企業は海外に販路を探っていますが、今よりも更に進むことでしょう。
何しろ日本では商品やサービスを必要としてくれるお客さんが激減するわけですから。
そう考えると英語は、今以上に仕事をする上で重要な道具となるでしょう。
「いずれGoogleの自動翻訳が進化したら、ドラえもんの翻訳コンニャクみたいに同時通訳してくれるから外国語なんて学習する必要がなくなる」という意見もありますが、言葉というのは人間同士のコミュニケーションツールですから、やはりその国の言葉を話せた方が良いに決まってます。
また人が減る社会であれば、より効率化が求められます。そして効率化を実現する手段としてプログラミングの重要性は高まります。
これからの時代は「情報編集力」が重要になる
生きていく上での基本となるチカラは3つあります。
- 基礎的人間力 → 体力、集中力、精神力、バランス感覚
- 情報処理力 → 知識、技能
- 情報編集力 → 思考力、判断力、表現力
この3つの中でこれから重要になるのが情報編集力です。
これからの時代は過去数十年に比べても変化の大きな社会になります。
そういう時代を生き抜くには、従来型の前例主義ではなく、イノベーションを起こせる発想力が重要となります。
例えばGAFAは何故、あれだけの巨大な企業になったのでしょうか?
GAFAとはGoogle、Apple、Facebook、Amazonの4つの企業を総称です。
GAFAがこれほどまでに大きくなったのはプラットフォーマーだからです。
プラットフォーマーとは何かといえば「自分たちでルールを作る側」ということです。
例えばインターネットは誰かの所有物ではありませんが、Googleの検索エンジンでサイトが表示されなければ、世の中に存在していないのも同じです。
youtuberを目指してもGoogleの定めた基準を満たさなければ収益化はできません。
そう考えると、これからの世の中は「ルールを作る側」と「ルールに従う側」に分別されるのです。
ドラゴン桜の有名なセリフに「バカはずっと騙され続ける」というのは、まさにルールを作る側に回らないと搾取され続けるということを表してします。
では「ルールを作る側」になるにはどんな能力が必要なのでしょうか?
重要になるのが「情報編集力」なのです。
情報編集力がイノベーションを起こす
従来型の学校教育は情報処理力を重視していました。知識を蓄積されることを重視した教育です。
これはこれで必要です。
しかしここまで成熟してモノが余る時代では「既存のモノと既存のモノを組み合わせて、今までにない便利」を生み出すことが重要になります。
日本ではコンビニ業界が大きな利益を生んでいます。
コンビニ業界は「今までにない便利」を生み出すことで、社会インフラと言われるほどの需要なサービスになりました。
コンビニが生み出したサービスを思い出してみて下さい。
①コンビニATM
24時間、いつでも現金が引き出せた方が便利だろうという仮説に基づいた。
②公共料金の振り込み
電気代やガス代といった公共料金を24時間、払えた方が便利だろうという仮説に基づいた。
③高品質な自主開発商品
高品質で他では手に入らない商品を自主開発したほうがお客さんに喜ばれるという仮説に基づいた。
他にもまだまだありますが、コンビニで行われている多くのサービスはまさに情報編集力から生まれたのです。
情報編集力を培う方法は?
このようにこれからの時代は情報編集力が重要になりますが、では、どうすれば情報編集力を培うことが出来るのでしょうか?
情報編集力とは以下の5つリテラシーのことを指してします。
- コミュニケーション
- ロジカルシンキング
- シュミレーション
- ロールプレイング
- プレゼンテーション
情報編集力を身につけるには、物事を自分ごととして考える習慣をつけるのです。
例えば歴史の授業では「○○年に戦争が起きた」ではなく、「何故○○年に起きたのか?」を考えることが重要です。
そして「もし現代で、このような戦争がおこったらどうなるか?」とシュミレーションしてみます。
つまりシュミレーションすることで自分ごとになるのです。
このような学習方法をアクティブ・ラーニングと言います。
例えばプログラミング言語を習得することを考えてみましょう。
新しくプログラミング言語を習得する場合、まずはテキストを購入して読みますよね?
そしてテキストのサンプルと真似して、テキストと同じプログラムを書いて、同じように動くか確認するでしょう。
しかし、そこから一歩、踏み出してテキストの丸写しではなく、自分で新たなプログラムを考えて作ることで、自分なりに考えることができます。
想定外のエラーが出ることもあるでしょう。それらの例外的なエラーにも臨機応変に対応することがアクティブ・ラーニングになります。
テキストを丸写しするだけでは習得できない考え方や能力を身につけることができるのです。
人生の長期化に対応する覚悟を持つ
社会が豊かになり、医学も進化したことで、人生は劇的に延びました。
1900年代の明治時代の平均寿命はせいぜい40歳から50歳くらいでした。
そして2020年代に生まれた子供の平均寿命は100歳を超えると言われています。
わずか100年程度で人生は倍に延びたのです。
つまりこれからの時代を生きていく我々は100年前の人と比べると、2回分の人生をもらったことななります。これって人生丸儲けですよね?
しかし、人間はただ生きているだけでは幸せだと感じることはできません。
「どのような目的を持って生きるのか?」がより重要になります。
残念ながら人生の長さは倍になっても、社会仕組みは追い付いていません。
破綻の心配のある年金財政とか、未だに60歳定年制とか、復業禁止とか、まだまだ70年くらい昔に作られた時代とズレのある仕組みの中で生きています。
長期化した人生を充実して生きていくには、時代遅れの制度や仕組みに寄りかかるのではなく「自分は何をしたいのか?」を明確化することが重要になるのです。
せっかく倍になった人生です。丸儲けと感じられるように生きていきましょう。