『脱社畜』という言葉がなんだか胡散臭い言葉になったのはいつ頃からでしょうか?
こんにちは! 松田軽太です。
最近、どうも『脱社畜』というとなんだか怪しげなイメージがありますよね。
おそらくそれは2019年のはじめに起こった『脱社畜サロン問題』が原因だろうと思います。
脱社畜サロン問題についてはここでは詳しく書かないので関心がある人は『脱社畜サロン イケハヤ はぁちゅう』といったキーワードでググッて下さい。
さて現在の『脱社畜』という言葉の持つイメージは何だろうかと考えてみると「会社でツマラナイ仕事を続けるのではなくフリーランスで自由に楽しく生きる」といった印象があります。
でも、本当にそれだけなのでしょうか?
そんなことに疑問を持った時に日野瑛太郎氏の著書『脱社畜の働き方』という本が目に止まりました。
はてなブログでの『脱社畜ブログ』がキッカケ
僕は知らなかったのだけど日野氏が運営している『脱社畜ブログ』が開設から5ヶ月で月間50万PVを記録したのです。
この本は2013年に発売されているので、この頃のはてなブログはとてつもないパワーがあったのですね。
では日野氏がブログを書くキッカケになったのは何かというと、たまたま読んだPhaさんの『ニートの歩き方』に大きな衝撃を受けたからなのです。
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そこで日野氏も自分で情報発信してみよう考えたのです。
世の中、どこにどんなキッカケがあるか分かりませんね。
なぜ日本の職場では理不尽がまかり通っているのか?
日本人の多くの職業は会社員です。
そして会社での仕事の多くは「楽しい」という感情ではく「我慢」という感情で占められています。
- 満員電車に押し込められて家から会社に輸送される
- 上司から仕事のやり方について揚げ足や嫌みを言われる
- 仕事が終わらなければサービス残業されられる
でもよくよく考えてみたら、働くという行為が「我慢」の結果だというのは不思議ですよね?
給料というのは会社で我慢した結果の我慢料ではないはずです。
日本人は「仕事は厳しいものだ」という刷り込みがあります。確かに仕事にはそれ相応の責任がありますから厳しいという側面はありますが、責任と我慢は同じではありません。
そもそも会社の存在意義は「社会に対して価値を提供する」ことです。
そこで得た利益が、その会社の価値を作るために働いている社員に還元されているという実にシンプルな仕組みです。
しかし、いつの間にやら会社とは我慢してお金をもらう場所になってしまったのです。
ブラック企業の温床となるサービス残業の常態化
ブラック企業という言葉が普通に使われるようになりましたが、ブラック企業というほどではない会社でも日常的にサービス残業が行われている会社も多いのではないでしょうか?
昨今は働き方改革の波がきており、また人件費の削減などで残業禁止という流れになっています。
しかし、微妙なのが『管理職』扱いの人ではないでしょうか?
管理職には残業代を払う必要がないので、会社側からすれば「働かせ放題」です。
会社側だけでなく本人もそういう認識なので「どうせいくら残業してもコストが掛からないから」と遅くまで仕事をする管理職も多いでしょう。
でもそれは本来の働き方改革の趣旨とは大きく外れています。
仕事なんてサッサと終わらせて、サッサと帰った方がいいんです。
ちなみにサービス残業は犯罪です。
「サービス」という言葉を使うから、なんだか社員側が好意的にサービスで仕事してるような印象ですが、本来は会社が労働時間を搾取しているのです。社員の労働時間を万引きしてるようなもんです。
これからはサービス残業でなく無賃労働と考えた方が良いでしょう。
このあたりに興味がある人は今野晴貴氏の著書『「労働」はなぜ違法がまかり通るのか』を読むと良いでしょう。
有給休暇は誰でも自由にとっていい
有給休暇もなかなか使いにくい会社が多いのではないでしょうか?
そもそも有給休暇は会社が社員にご褒美で与えているのではありません。
法律で決められた義務なのです。
だから社員は使いたい時に有給休暇を自由に使っていいんです、法律的には。
しかし「自分が休むと他の人に迷惑が・・・」とか「有給休暇をとるにも申請書に事細かに理由を書いて上司に許可を取らないと・・・」という妙な障壁があり、有給休暇を申請しにく雰囲気が作られているのでしょう。
とはいえ本来の有給休暇は理由にかかわらず自由に使えるものなので、ためらわずに使った方が良いでしょう。
長時間労働は当たり前ではない
日本の社会では「仕事を頑張っている」ことの基準が「毎日、遅くまで仕事をしている」「土日も会社にきて仕事を頑張っている」という労働時間の長さで判断されることがまだまだ多いのではないでしょうか?
定時で帰るのに、なんだか後ろめたさを感じたりしませんか?
でも、その日にやるべき仕事が終わっているなら定時で帰ったところで、何も問題ないハズです。
中には「昨日は終電間際まで仕事した」という苦労話なのか武勇伝なのかよく分からない自慢をする人もいますよね。
いずれにせよ疲労は蓄積していきます。すると仕事の生産性は下がるので本末転倒です。
このあたりはトム・デマルコの著書『デッドライン ソフト開発を成功に導く101の法則』を読むと良いでしょう。
会社との距離感を見直す
1970年代のような高度経済成長の時代であれば、物やサービスを作れば売れました。
会社は社員を終身雇用することで、社員は会社に対して忠誠を誓い、滅私奉公で働きました。
また年功序列の給与体系なので、若いときは給与が安くても我慢して会社に居続ければ自動的に給与が上がりました。
また大昔は「社員は家族的の一員だ」という考え方の会社も多くありました。
会社が我慢大会の場になったのは、そういう事情もありますね。
家族だったら無理難題でもふっかけやすいですよね。
しかし、今や経済連の会長やトヨタ自動車の社長までもが「もう終身雇用は無理っす」発言をして大きな波紋を起こしている時代です。
要するに「もう我慢して会社にしがみつかれても困る」と会社側が言い出したのです。
もちろん超高齢化社会となる日本自体が経済的な市場として考えると魅力がないし、成長しないだろうから言いたいことは分かります。
であれは、社員側も会社と付き合う距離感を見直すべきなのです。
今や会社側は社員を家族だなんて考えてません。
もし「社員は家族と同じだ」というのであれば、45歳以上をリストラなんてしませんよね。
むしろ「バブル経済期に入社した給与が高いだけで役に立たない不良債権」みたいな処遇です。
ではどう考えればいいのかというと会社は「家族」ではなく「取引先」と割り切って考えるのです。
「一生、会社にしがみつかないと生きて行けない」と考えると、自分で自分の可能性を縛り付けてしまいます。
取引先と考えたら、無理なサービス残業も断る勇気を持てるのではないでしょうか?
代金を支払わない取引先とは普通、付き合わないでしょうから。
会社というブランドをトコトン活用する
会社に属することのメリットは会社というブランドを使えることです。
一介の個人では会うことも出来ないような人にも会社というブランドがあれば、会うことができます。
それを活用して人脈を作るといったように会社を活用しましょう。
また仕事をする上での必要な技術も会社を活用して習得し、他の会社でも通用するくらいの応用力をもった技術を身につけましょう。
プライベートプロジェクトの勧め
本書では「会社で働きながら、それ以外に自分で収入源をもう一つ持つ」ことをプライベートプロジェクトという言葉で表しています。
最近の複業と同じ意味だと考えて良いでしょう。
プライベートプロジェクトとしてのオススメは以下の5つが紹介されていました。
- スマホアプリの開発販売
- KDPでの電子書籍販売
- ブログの開設
- サイト開発
- youtubeでの動画配信
この本は2013年に出版されたので、今だと電子書籍はKDPの他にもnoteで販売するという方法もありますね。
またプログミングを学習するのであれば、ドットインストールというサービスを活用することで、技術を習得できます。
そのように現代はプライベートプロジェクトを始めるための環境が整っています。
それ以外にもどんどん新しいサービスが開発されていくでしょうから、その時代ごとに自分に合ったジャンルを選択すれば良いでしょう。
いずれにせよ「とにかく何かやってみる」ということが大切です。
こういった本を読んでもほとんどの人が「じゃぁ、いずれやってみようか?」と思いつつ、そのまま何もしないのです。
しかし、何もしなれけば何も変わらないし、何もしなれけば失敗することはないけど、成功もしません。
AIとロボットが普及した世界
今後、AIやロボットの普及により仕事の自動化は更に進むでしょう。
それにより社会は大きな混乱期を迎えることになります。
よく言われるのが5Gという大容量の通信回線のが実用化すると完全自動運転が普及し、タクシーやバスやトラックの運転手の仕事が消失するといわれています。
或いは医療の分野では5Gにより、都内の医者が遠方の患者を診察することができるようになります。
会社でも1時間の会議のために往復4時間の移動時間を使っているなんてことも、バーチャル会議が実用化するとなくなるかもしれません。
また3Dプリンターの発達により、工場でのモノ作りの在り方が変わるでしょう。
例えば試作などは3Dプリンターでサクサクできてしまいます。
・・・と、これからますます社会の在り方が変わっていきますが、この速い社会の変化に追従できる会社は果たしてどれだけあるでしょう?
会社の平均寿命は23.5年だと言われています。
これからは社会の変化が速いのでもっと短くなると考えられます。
となると新卒から定年までの勤続年数よりも会社の寿命の方が短いので、終身雇用なんて幻想になります。
もしかしたらいずれはベーシックインカムが実現するかもしれません。
ベーシックインカムについては山森亮氏の『ベーシック・インカム入門』をお読みください。
この本の参考文献
この本の巻末に参考文献が載っていました。
こちらについても興味があれば、読んでみると良いと思います。
搾取される若者たち ―バイク便ライダーは見た! (集英社新書)
リファクタリング・ウェットウェア ―達人プログラマーの思考法と学習法
ソーシャルゲームだけがなぜ儲かるのか (PHPビジネス新書)
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労働社会の終焉―経済学に挑む政治哲学 (叢書・ウニベルシタス)
ベーシックインカムは究極の社会保障か: 「競争」と「平等」のセーフティネット
働かざるもの、飢えるべからず。 だれのものでもない社会で、だれもが自由に生きる――社会システム2.0 (サンガ新書)
経済成長神話の終わり 減成長と日本の希望 (講談社現代新書)
働き方改革についてはこちらの記事もお読みください。