日経ビジネスで『入山章栄・安田洋祐の業界未来図鑑』という面白い記事を見つました。
こんにちは! 松田軽太です。
経営学者の入山章栄氏と経済学者の安田洋祐氏が「この業界は今、どうなっているんだろう?」と気になる業界について議論するという企画です。
で、今回取り上げられていたのは「自動運転業界」です。
自動運転が自動車業界に与える衝撃は、もうセカンドインパクト級です。
世界に名だたるトヨタ自動車ですら「現在の自動車業界は創業以来の危機」と
焦っているくらいですから。
さて、そんな激変する自動運転業界ですが、まず登場するのがDeNAです。
DeNAはいつの間にかに自動運転業界に進出していた
DeNAといえばモバゲーといったゲームや横浜ベイスターズを思い浮かべる人がほとんどでしょう。
自動運転業界とはあまり関係なさそうですが、DeNAは今、自動運転に注力しているのです。
ところがです。DeNAのサイトの事業紹介ページを見ると『オートモーティブ事業』というものが存在しているではないですか!
なんと事業領域は6つもあります。
DeNAは自動運転とシェアリングエコノミーの分野に力を入れているのです。
『MOV』
「MOV」はいつでも簡単にタクシーを呼べる、次世代型のタクシー配車サービスです。
専用の乗務員端末と連動して、スムーズな乗車体験を実現するとともに、
AIを活用したタクシーの生産性向上にも取り組んでいます。
『Anyca』
DeNAとSOMPOホールディングスの合弁会社DeNA SOMPO Mobilityが運営する「Anyca(エニカ)」は、自身がクルマを使わない時にシェアしたい「オーナー」と必要なときに好みのクルマを使いたい「ドライバー」をマッチングするカーシェアサービスです。
『SOMPOで乗ーる』
株式会社DeNA SOMPO Carlifeが運営する「SOMPOで乗ーる」は、SOMPOとDeNAのクルマ定額サービスです。
車検、保険料なども全てコミコミというシンプルな料金設定と、SOMPOならではの安心・安全をご提供します。
『Easy Ride』
日産とDeNAが開発を進めている、自動運転技術を活用した新しい交通サービスです。
「もっと自由な移動を」をコンセプトに、誰でもどこからでも好きな場所へ自由に移動できる社会の実現を目指しています。
『ロボットシャトル』
「ロボットシャトル」は、最寄りの交通ハブから目的地までの短距離(ラストワンマイル)を無人運転バスで結ぶ交通システムです。
『DRIVE CHART』
車内外を写す専用車載器の映像などを元に、AI(画像認識技術)を用いて危険運転状況を可視化し、運転特性をドライバー自身だけでなく管理者と共に把握・改善することができる商用車向けのサービスで、交通事故削減の効果が期待できます。
自動運転といってもDeNA自身が自動運転そのものを開発しているわけではありません。
その辺りの自動運転そのものはGoogleとかUberといった超巨大企業が巨額をかけて開発しています。
DeNAは『自動運転』という技術を活用したプラットフォームを提供しているのです。
クルマ、キット、プラットフォーム、旅客運送サービスの4層になっている
実は自動運転業界はクルマ、キット、プラットフォーム、旅客運送サービスの4層に分かれています。
まずは自動車というハードウェアを作る自動車メーカー。
トヨタ自動車、日産、ホンダ、メルセデス、フォルクスワーゲン、BMWなどなど
沢山の会社が自動車というハードウェアを製造しています。
キットとは自動運転そのものを開発してるGoogleとかUberといった起業です。
そしてDeNAのように自動運転を活用したプラットフォームを提供する会社があります。
さらにそられのプラットフォームを利用してタクシーやバスを運行する会社があるのです。
現在はレベル2まで実用化されている
一口に自動運転といっても、実際には段階があります。残念ながら今のところ、SF映画のように呼んだら無人で迎えにきてはくれません。
自動運転はレベル1〜5まで5段階あります。
「レベル1」はすでに市販車に搭載されている自動ブレーキなどの運転支援機能です。
自動ブレーキは今やN-BOXのような軽自動車にまで標準装備されているので、もはや完全に実用化されていますね。
そもそもはスバルのアイサイトが先陣を切っていました。
スバルは自動ブレーキの開発を1989年からトライしており、最初は1999年に販売されたランカスターに搭載されましたが、当時は「安全装置に高額なお金を払う」ということが浸透していませんでした。
20年も経つと時代は変わるのです。
昨今では高齢者のブレーキとアクセルの踏み間違いといった事故のニュースがあとを絶たないので、もっと普及して欲しいですね。
「レベル2」は自動ブレーキよりも高度な技術で「レーン・キープ・アシスト」や「前車追従クルーズコントロール」などが該当します。
すでに日産自動車が「プロパイロット」という商品名で実用化していますね。
「レベル3」は条件付き自動運転、「レベル4」は高度自動運転、「レベル5」は完全自動運転です。
このレベル3以上になると、責任はドライバー側ではなくシステム側になるのです。
「MaaS」という新しいサービスの登場
最近、「MaaS」という言葉を目にするようになりましたね。
「モビリティー・アズ・ア・サービス(Mobility as a Service)」の略で、カーシェアリング、配車アプリといったサービスが該当します。
そういえばソフトバンクとトヨタ自動車も「MONET」という「MaaS」の会社を立ち上げました。
モビリティができること。
移動で困る人々をゼロにするために。
そして、人々の生活をもっと豊かにするために。
さまざまなデータ・AI・最新技術を組み合わせた 『MONET プラットフォーム』を用いて、 MONETは新しいモビリティを開拓し続けます。
イマイチ、どういう事業なのかこれを呼んでもよく分かりませんが・・・。
この記事の中では、下記のように説明されています。
複数の交通サービスを組み合わせる「マルチモーダル」という意味でも使われています。
たとえば、電車とカーシェアリング、バス、タクシーなど複数の交通手段を組み合わせて、快適なユーザーエクスペリエンスを提供しようということです。
日本には「乗換案内」というアプリがありますが、さらに進んで、そのまま予約や決済まで統合しようという動きが出ています。
この説明を読むとなんとなく分かりますね。
「MaaS」は新興国から普及していく理由
日本、アメリカなど先進国には、既にインフラが十分に整っているので「MaaS」という新しいサービスが普及するのに時間がかかる可能性があります。
今でもマイカーがあって便利な生活をしているからです。
むしろまだ自家用車が普及していない新興国の方が先に普及するかもしれません。
日本でキャッシュレス決済がなかなか普及しないのと同じ理由です。
日本中にコンビニにATMがあって、いつでもどこでも現金が引き出せる便利な状態なのもキャッシュレス決済が日本でなかなか浸透しない理由の一つです。
モノが普及する前にコトが普及することを経営学では「リープフロッギング」というそうです。
要するに「カエル跳び」ということです。
自動車が発明されて100年が過ぎたところで、大きな変革の時を迎えたのですね。
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