美容師の友人がいますが、2020年に突如、起こったウィズコロナ時代という社会変化に困惑しているというのです。
こんにちは! 松田軽太です。
この話を聞いて、ふと思い出したのが『小さくても勝てます』という さかはらあつし氏の著書でした。
この本は実在する西新宿のありふれた理容室だった「ザンギリ」というお店が人気店になるために行った施策を記した本なのです。
試しに「西新宿 ザンギリ」でググってみる、このサイトが見つかります。
さて、この本。本当に内容が多岐にわたるので、まずはキーワードを拾っていこうと思います。
そうしないと書ききれないと思ったからです。
世の中の新しい職業は自分で名乗ることからしか始まらない
なるほど、確かにそうかもしれませんね。
今だったらYouTuberになるとしたらどうでしょう。
動画を投稿して「僕はYouTuberです」と名乗れば誰でもYouTuberになれますね。
少し前の社会では「職業と名乗るなら、その仕事だけで食べていけているかどうかが基準だ」と聞いたこともありますが、今や複業時代です。
一つの会社、一つの仕事に縛られなくなりつつあるので、簡単には割り切れない複雑怪奇で混沌とした時代なのです。
営業マンが目指すべきは「何でも相談してもらえる信頼関係の構築」
今の世の中、モノを買うだけならAmazonやら楽天やらECサイトがワンサカあるし、鬱陶しい接客もなく気軽にモノなんて買えてしまう便利な時代です。
では、そんな時代にあって営業マンの存在意義はなんなのでしょうか?
「この人に相談すれば、困っていることが解決するのではないか?」という期待感なのではないでしょうか?
いつでもどこでもECサイトを覗くと大量の商品が見つかります。
しかし、大量すぎてどれがベストなのか分からない、ということってありますよね?
Googleがここまで大きくなったのは、インターネットという情報の海から自分に必要な情報を見つけてくれるからですね。
そう、情報は多すぎると逆に必要な情報にたどり着きにくくなってしまうのです。
このような時代にあれば、自社の商品とノルマに合わせて売りつけるだけの昔の気質の営業マンでは、これからの時代、信頼関係の構築にまで育むのは難しいでしょう。
相手の動きを利かなくすることこそが「戦略的発想」
グローバル化社会の到来で日本企業が負け続けているのは、きっと「相手の動きを封じ込めることができるような戦略的発想」が出来ていないからなのでしょう。
製造業が得意な日本企業ですが、品質向上、原価低減、組み立て工程の効率化という部部では長い年月をかけて磨きをかけてきました。
そうした物理的な部分で努力をして、良い品を提供するだけではグローバル化では勝てませんでした。
よく言われるのは、商品開発の発想の出発地点がプロダクトアウトなのかマーケットインなのか、という議論です。
プロダクトアウトというは、技術目線で商品に付加価値をつけていく開発方法だが、この方法が乗り並み裏目に出ているのでしょう。
テレビであれば一昔前に流行った3Dテレビが良い例ではないでしょうか?
「映画館だけではなく、自宅でも気軽に3Dの立体映像が楽しめる」という触れ込みだったと思いますが今や3Dの立体映像を商品特性として売り込むテレビは皆無です。
映画ならまだしも、今のテレビ番組は制作費の削減からかクイズ番組やひな壇芸人のトーク番組が増えています。そのような平面的な番組を3D映像で観たい人など居ないのですから。
さて、次はマーケットインです。
マーケットインとは、顧客目線で商品開発を行うことです。つまりお客さんが欲しいと思う商品を提供するとこですね。
こう書くと当たり前に思えるかもしれませんが、実はそう簡単ではありません。
なぜなら現時点では存在しない「お客さんがあったら良いなと感じるモノ」を提供しようということからです。
存在しないから欲しくなるし価値があるんですが、存在しない商品やサービスを作り出すというは、非常に労力が要ります。
よく言われるのはiPhoneという電話と手のひらに乗るパソコンの一体化や、Amazonのようにインターネットでありとあらゆるモノを売れる仕組みを作り上げたことでしょうか?
こうしたイノベーションの事例は何もGAFAだけでなく、日本の企業でも多くあります。
セブンイレブンの躍進はまさにマーケットインの発想で様々な世の中にないサービスを実現したことにあるでしょう。
コンビニATM、公共料金の支払いサービス、コンビニコーヒー、惣菜の高品質化たなどなど、これらはいずれも企画段階では「そんなの無理だ。そんなことしても無駄だ」といわれていたことばかりです。
運輸業界ではヤマト運輸の宅急便も、当初は個人宅に配送するなんて手間のかかるサービスは定着しないと業界内では否定的でした。
ダイソーは今や巨大企業ですが、100円で提供できる最大の価値というコンセプトをブレずに追求しており、今や店内の数万点に及ぶ商品のほとんどが自社開発です。
それはどういうことかいうと、ダイソーでしか買えない特別な商品だということです。そして発注ロットを10万個ように膨大にすることで、生産委託している工場のラインを独占できるので、他社が入り込みにくくなっています。
これからの会社が提供するサービスは今では世の中にあって当たり前です。
ということでただ単に独りよがりの商品を売る時代ではなく、利用者目線でサービスを構築すると、他社が容易に参入できない仕組みになるのです。
ちなみに本書によると『戦術とは戦いに勝つための具体的なやり方、戦略とは長期的視野と複合的思考で資源を活用する方法』と解説されています。
フレッシュアイズとデビルス・アドボケイド
この2つの言葉は、あまり聞きなれないですよね。
しかし説明を聞けば「そういうことか」とすんなり理解できる内容です。
経営者はその業界でのビジネスのことを四六時中考えているプロだと言えます。
反面、長くその業界の中でモノゴトを考えていると、いつしか視野が狭くなってしまいます。
『フレッシュアイズ』とは、新しい目線でその業界を観察するとこで、新たな発想を得るということです。
豆腐メーカー相模屋が良い例かもしれません。
相模屋の社長は婿養子で、豆腐業界のことは知りませんでした。
社長業に引き継いだ時、豆腐業界は右肩下がりの斜陽産業でした。
そこで社長が考えたのがザク豆腐。豆腐業界の常識で考えたら、ガンダムの出てくるモビルスーツのザクみたいな容器のフザケた豆腐なんか売れるなんて思わないでしょう。
しかしザクは大ヒットしました。そして、ザク豆腐をきっかけに相模屋というメーカー名も覚えてもらえたのです。
そして更にすごいのは、相模屋は豆腐のパッケージ方法も変えることで、賞味期限を伸ばすことに成功しました。
豆腐の賞味期限が伸びるということは、北海道や沖縄などの遠隔地にも出荷が可能になるので、販路が拡がります。ということで相模屋の以前は28億円の売上は現在の社長になってから10倍の300億円にまで成長したのです。
『デビルス・アドボケイド』とは、会議なので同調圧力に負けずに敢えて反論することです。
実力のある経営者の周りにはイエスマンが集まります。それは仕方がないことですが、成功する企業の社長は常に「それは本当か?」と疑うことを忘れません。
セブンイレブンを長くて牽引した鈴木敏文氏も自分のアイデアに対して反対意見が多かったら、そのアイデアは上手くいくと考えたそうです。
誰もが賛同するアイデアなど、他社がすぐに真似できてしまいますから。
本書の38ページにも書かれていますが『非合理的に決めた志を、合理的に追いかけた者だけが、志を達成する』とあります。
理屈で考えて合理的に決めた志なんて、ちょっと問題や障壁があったら、あっという間に崩れて頓挫してしまうのです。
『これをやりたい!』という強烈なモチベーションがなければ、『まぁ、やっぱり無理だよな』で諦めてしまうでしょう。
ターミネーター2で、サラがスカイネットの基になるサイバーダイン社の開発者を暗殺しに行ったのも、ジョンとターミネーターを引き連れて、サイバーダイン社の研究所を爆破しにいったのも『非合理的に決めた志』があったからだと言えます。
業務改善であったり、新しいアプリを作るのも、似ていると思いませんか?
従来の非効率的な仕事のやり方を変えるのも、今まで使ったことがない新しいアプリを作るのも、誰も経験していないから、相談すると否定されることがあります。
それはアナタと同じ志を共有していないからなのです。
ここまでで、まだ第一章
ながながと書いたようにも思いますが、ここまででまだ第一章です。
疲れてきたので続きは次回に。