気がつくと2023年も残りわずかになりました。
こんにちは! 松田軽太です。
ということで経産省が警鐘を鳴らしている「DX-2025年の崖」まで、あともう僅かの期間になりましたね。「DX-2025年の崖」の効果もあるのでしょうが、昨今はたくさんの企業や自治体がDXへ取り組み始めました。
しかしよくネットで目にするのは「我が社が出来そうなDXをなんか考えろ」という経営者からの丸投げDXです。丸投げDXでよくあるパターンは「DX推進室」という専門部署の立ち上げでしょうかね。
まぁ、現実問題として経営者はITの専門家ではありません。
そこにいきなり「IT技術やAIを事業に活かせ」と言われても、そりゃ無理というものです。となるとITに詳しそうな人に指示するありません。
予算があるなら外部からCIOとして招聘して、全社DXを進めるという手もあります。
しかし多くの中小企業では、そんな有能なDX人材を獲得できるような予算はないでしょう。
しかし、そもそもDXとはデジタル・トランスフォーメーションの略です。つまりデジタル技術を活用したビジネスの変革と転換です。そんなの経営者以外にはできるワケもありません。
ということでDXとはこのような矛盾に満ちた活動とも言えます。
そんな時、目についたのがこの記事です。
以下、記事から少し引用します。
ただねぇ、経営者が現場に丸投げする草の根DXなるものが成功する確率はほとんどないぞ。
何度も言うが、DXはデジタルを活用したビジネス構造の変革であり、デジタル革命の時代に対応してテック企業のようなビジネスの仕組みをつくり込んでいく取り組みだ。
これは経営者の主体的な関与、要するに経営者のエンゲージメントが不可欠だ。
「我が社のDX」を熱く語るだけで、その実践を現場に丸投げするようでは、DXなんてどだい不可能。
だからこそ、現場でDXの取り組みを担う担当者はもっと打算的になる必要がある。
小さな成果でもよいから何らかの実績を出して、転職活動の際に「DX人材」としてアピールできるようにする。
そのためには企画を練り上げ、頭の固い上司を説き伏せ、横やりを入れてくる他部署と交渉するといった努力を必死で続けねばならないから、DX人材としての見識や胆力、実行力などが徹底的に鍛えられるはずだ。
これからもDX人材は引く手あまただし、優秀な人材ならCDO(最高デジタル責任者)などの役員待遇で迎えられる可能性もある。
DXに本気の経営者がいる企業を見つけたら、とっとと転職に踏み切ろう。
丸投げDXで翻弄される悲劇のDX担当者
これを読んで「なるほど」と思いました。
X(旧ツイッター)には無理やりDX担当者にさせられた人たちの怨嗟の声に溢れています。それらの多くはIT音痴の経営者が気まぐれに任命したDX担当者に、ろくな予算も権限も与えずに丸裸で現場に放り込んでフルボッコにされてしまうという悲劇です。
いくらDX担当者が「今の手書き帳票の非効率的な仕事のやり方をタブレットを活用したデジタル化を推進します」などと宣言しても、「そんなことされたら余計に仕事が面倒になって作業効率が悪くなる!」と猛反発されるという構図。
まぁ、やらされる現場の人方からしたらそう思いますよね。
だって、現場の人がデジタル化をしたいわけではないので完全に押し付けられてるので、やらされ感満載ですよね。他人から押し付けられる仕事には反発するものです。
かといってDX担当者として八方塞がりで困りますよね。
水戸黄門のように「このDXの紋所が目に入らんか!」とDX印籠でも出して、現場担当者が平伏せば良いのですが、現実はそんな上手くいくわけはないですから。
なので真面目なDX担当者ほど四面楚歌になって身体と心が病んでしまうことも多いでしょう。
DX担当者はリスキリングをするチャンスに恵まれる
そこで先ほどの「日本企業で流行中の愚かな「草の根DX」、転職のための実績にするにはちょうどよい」に書かれていたことを思い出してください。
現場のDX担当者に対しては「しょうがない。どんどんやれ」と発破をかけることにしている。どんなDXでもそれを担った実績は転職で有利になるからね。
「えっ、そんなつもりじゃ」とDX担当者は言うかもしれないが、先のない企業にいるより転職が吉だぞ。
身もふたもない話ではありますが、経営者自身が本気で改革する気もないDXブームに乗っただけの「ゆるふわDX」が成功するわけありません。
なぜなら本来のDXとは事業変革を伴うものあるし、そんな大きな変化はかただか任命されただけのDX担当者では成し遂げられるものではないからです。
DX担当者が出来るのは、協力的な一部の部門に生成AIやRPAやローコード開発による小さな業務システムを作るといった部分最適なデジタル改善が関の山でしょう。
しかし考え方を変えれば、それはチャンスと捉えることもできます。
おそらくですが、ゆるふわDXで実現できるのはデジタイゼーションと呼ばれているデジタル改善でしょう。RPAなどのノーコード開発は一般的には「誰でもできる」と謳われていますが、現実には「誰でもできる」ワケではありません。
少なくとも「変数」「分岐」「繰り返し処理」という考え方を理解していないと難しいでしょう。kintoneのようなノーコード開発ツールで小規規模な業務システムを作るにしても、データベースの知識は必要です。
Excelにはパワークエリやパワーピボットといった新しい機能を活用することで業務効率を上げることができます。パワークエリ・パワーピボットを使わなくても、Excel関数やVBAを活用することで大きな成果を上げることも可能です。
そして何よりもこれらの知識を有してる人は、多くの会社でも極少数です。
例えば企業での情シス人材の割合は社員数に対して1%だと言われています。
つまり99%の人たちは、このようなデジタル改善を行うための知識も技術も持っていないのです。
そう考えれば、なりたくてなったワケでもないDX担当者という立場であっても、多くの人が持ち合わせていないデジタルの知識を学習する絶好の機会を得たと言えるのではないでしょうか?
DXを推進するにあたり必要な知識習得のためであれば、講習会の受講費も会社が出してくれるでしょう。なのでDX担当者という立場を最大限に活用することも考えるべきでしょう。
DX推進を開始して2~3年くらい経ったら経営者から「ゆるふわDX」の成果を求められることになるでしょう。
しかし、ふんわりしたDXが成功するワケありません。
場合によっては、ぜんぜん進まないDXに経営者から理不尽に叱責されることもあるでしょう。(DXを丸投げしてることが根本的な原因だとは思わないでしょうから)
それに納得できないのであれば、DX担当者という実績を携えて転職するというのも一つの選択肢です。捨てる神あれば拾う神ありと言います。
なので今のうちから本気でデジタル技術をリスキリングしておくのは大切だと思います。
DX担当者としてしたたかに生きる
今、在籍している会社がDXできるかどうかはさておいて、いずれにせよこれだけ生成AIが話題になっているし、その進化の速度は驚くほど速いです。
「昔ながらのやり方」に固執していると、気がつくと時代遅れになってしまう可能性は大きいでしょう。
DX担当者になると、仕事柄、新しい技術の情報に触れる機会も多くなります。
ということでDX担当者になったからには、ある意味、したたかさも必要かもしれません。