なぜ「イイ奴」が実力以上に評価されるのか?
上司は、正しい人よりも、一緒に働きたい人に仕事を振る。
ミスをしてもフォローしやすい。
困ったときに声をかけやすい。
少しくらい機嫌を損ねても関係が壊れなさそう。
そういう相手に、重要な仕事は集まっていく。
任せられる回数が増えれば、経験が増える。
経験が増えれば、結果も出やすい。
評価が上がり、また仕事が集まる。
その繰り返しだ。
評価の9割は数字で決まる、というのは建前に近い。
360度評価も、上司の所感も、人事の最後の一押しも、心のどこかでこう考えている。
この人は困ったときに味方になってくれそうか。
この人に任せて大丈夫か。
安心できるかどうか。その感覚が、じわりと点数に混ざる。
可愛げがある。空気を読む。
根回しがうまい。
これらは処世術ではなく、生存戦略だ。
成果主義を掲げていても、実際のところ社内で物を言うのは
人間関係を築ける力だったりする。
社内政治力と言い換えてもいい。
逆に、真面目すぎる人や正論ばかり振りかざす人は損をしやすい。
正しいのに、扱いづらいと思われる。
空気を読まないと距離を置かれる。
感情を後回しにする人だと決めつけられる。
すると、重要な情報が回ってこない。
相談も減る。
気づけばチャンスが細っている。
社内でよく見る「イイ奴」無双のパターンはわかりやすい。
仕事は飛び抜けていない。
でも、いつも笑顔でお疲れ様ですと言う声が気持ちいい。
上司の雑談にきちんと乗り、さりげなく褒める。
飲み会では自然にグラスを回し、場を整える。
失敗したら、すみませんでした、次は絶対やりますと素直に頭を下げる。
あの人大丈夫そう。なんか感じいいよね。
その一言で済む人たちが、気づけば早く昇進し、希望部署に移り、リストラの波をすり抜ける。
もちろん、実力がゼロでは話にならない。
最低限の力がなければ、ただの「イイ人」で終わり、年収もそこで止まる。
けれど土台があるなら、好感度は意識して上げたほうがいい。
挨拶や相槌を少しだけ大きくする。
ありがとうございますを先に言う。
上司や先輩の成功を素直に喜ぶ。
小さな雑用を黙って引き受ける。
愚痴を外に出さない。
こうした動きは、思っている以上に効く。
実力70点で好感度95点の人が、実力95点で好感度50点の人を追い抜く会社はまだ多い。
超成果主義の外資や一部のベンチャーなら逆転も起きるが、日本企業の8割くらいは、人間力が実務力を上回る世界にいる。
重要なのは社内アピール力だ、という言葉は半分以上本当だ。
残りは最低限の実力と、少しの運。いい仕事をするだけでは足りない。
いい奴だと思われることも、いつの間にか仕事の一部になっている。
それが窮屈なら、数字で結果を突きつけられる環境に身を置けばいい。
外資、専門職、フリーランス。
人間関係の重みが軽い場所もある。
どこで働くかで、息のしやすさは驚くほど変わる。