サラリーマンであれば社内政治と無縁というワケにはいきません。
こんにちは! 松田軽太です。
ということで今回は『社内政治の教科書』を参考に社内政治について考えてみたいと思います。
情シス部門こそ社内政治を意識すべき
特に情シスのように物事をロジカルに考えることができる人たちからすると、社内政治って考えただけでも面倒くさいだけだと感じると思います。
まぁ、僕も同感です。でききることなら、社内政治なんで面倒なことは考えずに業務を改善するアプリでも作ったほうが良いと思っちゃいますね。
しかし、です。
情シスって社内での発言力は弱いですよね?
営業部門や製造部門はベネフィットセンターと呼ばれます。商品を作ってたり売ったりする利益を生み出す活動をしている部署ですね。
では情シスはどうでしょう?
総務や経理や情シスのような管理部門は直接利益を生み出さないので、コストセンターと呼ばれます。
総務や経理はどんな仕事をしているのか分かり易いですが、情シスは社内では何をしているのか分からない謎の部門です。
今までの情シス部門は社内回線や基幹システムといったバックエンドの社内インフラを安定稼働させることがメインの役割でした。
しかし、これからはデジタル・トランスフォーメーション(DX)への対応が必要になります。情報技術が経営自体に影響する時代なのです。
だからこそ社内政治を意識して情シスの立場を上げていくことが情シス部門のマネージャーに求められるのです。
立場の低い情シス部門であるからこそ、社内政治が重要になのです。
ということで、今回は情シス部門の人たちが苦手な社内政治について考えていきましょう。
社内政治は面倒だけど避けられない
人間が2人以上いると、どんなことであれ意識のズレは発生します。
このズレから起こる摩擦が社内政治になります。
些細なところでは「お昼のランチな何を食べるのか」からすでに政治が始まっています。
一緒にランチするのが同僚であれば、お互いに好きなものを食べれるお店を選ぶことが出来ますが、上司と一緒のランチであれば、アナタが食べたいお店ではなく、上司が食べたいお店になるでしょう。
あるいは一緒にランチに行く相手が部下や後輩であれば、相手はアナタに遠慮してアナタが食べたいお店になるでしょう。
つまりこれが社内政治なのです。
社内政治を左右するのは「影響力」
人間関係で重要なのは信頼関係ですよね。
信頼関係を構築する基礎となるのは「実績」であったり「専門知識」です。
例えば社内にどんな難問のプロジェクトでも、成功させてしまうスーパーヒーローみたいに優秀な人っていませんか?
誰もが躊躇するような難問をどうにか成功させてしまう力量を持っていると「実績」という信用が蓄積されます。
あるいは情シスであれば、専門知識を活用するというのも重要です。
ちまたに広がるERP、RPA、IoT、SaaS、PaaS、IaaSといった似たような英数略語の謎の言葉は情シスの人間でなければなかなか理解できません。
このように意味の分からないことに対して適切な理解をしていることも信用につながります。
そして一度、実績や専門知識という評価が周りに定着すると「あー、その件ならあの人も相談すると良いよ」とクチコミも広がります。
それらの蓄積がアナタの「影響力」というパワーとなるのです。
社内政治は長いスパンで考える
社内政治とは文字通り社内での立ち位置です。
ということは転職を一切しないのであれば30年以上の期間、会社に属するでしょうし、いずれ転職をするにしても4~5年は会社にいるでしょう。
そのくらい長い期間を過ごすのですから、その場しのぎで意見や態度を変えるのは控えた方が良いでしょう。
その場その場で意見や態度を変えると「アイツは八方美人だから気をつけた方が良い」と悪いウワサをされる可能性があります。
しかもウワサはみんな大好きです。そして、たいていのウワサは悪い方に話が誇張されます。
何故なら誇張した方が話す方も聞く方も面白いからです。
そして最悪なのはウワサが広まるうちに、いつまにか、
まるで事実のように扱われてしまうことです。
そうならないように八方美人な態度をしないように気をつけるべきです。
社内政治は長期戦だという認識をしましょう。
信頼を蓄積しよう
人間が周りの人から信頼されるというのは、どういうことでしょうか?
それは「誠実である」ということです。
では誠実とはどういう行動でしょうか?
- 礼儀正しく人と接することができる
- 謙虚である
- 正直である(嘘をつかない)
- 約束を守る
- ルールを守る
- えこひいきしない
- 素直である
- きちんと謝ることができる
こういった人間としての基本的な行動をするだけでもアナタの信用は上がります。
逆に考えれば、このような基本的なことができない人も多いということです。
このような信用を長い期間かけて蓄積すると、アナタの社内にアナタの味方が増えるのです。
ある案件でアナタの意見とライバルの意見が対立した時、アナタの信用の蓄積が大きければ社内ではアナタの意見を支持してくれる人が増えるのです。
これこそが社内でのアナタの力になるのです。
社内に味方を増やす方法
人は受けた恩に対して報いたいと思うものです。
なので普段からちょっとしたことを手伝ってあげるだけで効果があります。
情報シスであれば
・Excelの関数の使い方が分からない
・基幹システムの操作方法が分からない
・コピー機の使い方が分からない
・スマホの使い方が分からない
といった問合わせを受けることが多いのではないでしょうか?
もちろんコピー機の使い方は情シスの役割ではないかもしれません。
しかし、アナタがコピー機の使い方を知っているのであれば、教えてあげることでアナタは感情されます。
こういう小さな感謝の積み重ねもアナタへの信頼の積み重ねになるのです。
議論で言い負かしても見方は増えない
これは情シス部門の人は気をつけるべき部分です。
例えば営業部長のような人からこんな相談を受けたとします。
部長「これからはAIがロボットで営業事務を自動的にやってくれるのがあるんだろ?なんだっけ・・・PTAみたいな名前の・・・」
アナタ「それはもしかしてRPAのことではないですか?ロボットが事務処理をするソフトです。
営業「そうそう、そのRPAってヤツだ。それを使うと営業事務が自動的にできるんだろ?どうにかウチの部署で使えないかね?」
アナタ「RPAを導入するにはまず業務標準化が必要です。不要な作業もあるでしょうからBPRも行う必要があります。またBPRを素人が行うのは難しいので、業務改善コンサルに業務分析してもらう必要があります。すると費用的にはまず1000万円くらいを用意してもらう必要がありますね」
部長「・・・分かった。もういいや」
と言って最初、嬉しそうに話しかけてきた営業部長は落胆した表情で帰るでしょう。
さて、このやりとりで営業部長がアナタに対して信頼関係が構築できたと言えるでしょうか?
無理ですよね?
きっと営業部長は「アイツ、屁理屈ばっかこねて俺の提案を罵倒しやがった。何にも知らないからって馬鹿にするんじゃねーぞ!」と内心、腹立たしく思っているでしょう。
一方、アナタは正論を言っただけなので、営業部長がそんな風に怒っているとは思いもしません。
こういう不満の積み重ねがあると、次の機会にアナタがRPAを提案したときに、この営業部長に反対されたりします。
なぜならこの営業部長はアナタにプライドを傷つけられたことを根に持っているからです。
本来、企業人であれば全体最適で判断すべきですが、みんな人間なので感情の生き物です。
感情のしこりは長く残るので気をつけた方が良いでしょう。
パワーバランスを見極める
どんな立派な提案であっても、承認されなければ実行できません。
そのためには人事と予算を誰が握っているのかを知っておく必要があります。
例えば「RPAの導入」を例に考えてみましょう。
RPAは事務処理を自動化するソフトウェアですが、アナタの会社に事務担当者が少なかったとします。
すると総務や経理は「RPAなんか導入しても費用対効果が見合わない」と却下しようとするかもしれません。
しかし、翌年に生産管理ERPのリプレースが迫っていたらどうでしょう?
RPAを導入することで新しいERPへのカスタマイズを減らして、生産管理の担当者が内製化で機能を作れるとなれば話が変わります。
ERPへのカスタマイズは数百万円から数千万円掛かります。
またRPAは生産管理以外の業務も自動化することができます。
こういう状況であれば、RPAを導入するメリットが明確だし、総務や経理が反対しても、工場長が強くバックアップしてくれるでしょう。
製造業であれば、総務や経理といった管理部門よりも製造部門の方が発言力があるのもです。
つまり「RPAを導入する」という案件でも、誰を巻き込むとその提案が通るのかという社内のパワーバランスも上手く活用すべきなのです。
社内で立場の弱い情シス部門だからこそ、社内政治を意識して、専門家として地位を確立すべきなのです。
それができないと「コストセンターの情シスなんか減らしてしまえ」ということになり
ひとり情シスやゼロ情シスという事態になってしまいますよ。