『直線は最短か?』というタイトル、なかなか面白いと思いませんか?
こんにちは! 松田軽太です。
『直線は最短か?』というのは『小さくても勝てます』を書かれた阪原淳氏の著書です。
この本では阪原氏が長年、活用してきた弁証法を分かりやすく説明した本です。
弁証法は難しいものではない
この本を書かれた目的は「弁証法を生きるための道具」として紹介したいという阪原氏の強い熱意があったからです。
正直、僕自身は今まで弁証法なんて全く縁がないと思っていました。
弁証法をwikiで調べてみるとこんな風に説明されてます。
ざっくり書くとソクラテスの時代に生まれ、19世紀にドイツのヘーゲルという哲学者によって再発見された「認識の方法」なのです。
…と、説明されてもピンとこないと思います。
そこで本書では分かりやすい事例としてホットドッグを弁証法で説明しています。
弁証法では「テーゼ」「アンチテーゼ」「アウフヘーベン」「ジンテーゼ」という4つの視点で考えるのです。
ホットドッグはソーセージを中心と考えると
ソーセージが「テーゼ(正)」
パンが「アンチテーゼ(反)」で
この異なる二つを要素をぶつけることを「アウフヘーベン」
その結果がホットドッグという「ジンテーゼ(合)」
つまりソーセージとパンを組み合わせたとこで生まれた「新しい価値」ということです。
弁証法という昔からある哲学的な考え方が新しい価値を創出する考え方だとは全く知りませんでした。
先の見えないコロナ禍でこそ、弁証法が役立つ
さて、今は世界中がコロナ禍に襲われ混沌としています。
そのような先の見えない時代を生き抜くためのツールとしても弁証法は役立つのです。
今までの普通の世界というテーゼに対して
新型コロナウイルスというアンチテーゼが現れ、パンデミックというアウフヘーベンが起こり、新しい社会というジンテーゼが生まれます。
これだけだと漠然としているので、もっと具体的な事例を考えてみましょう。
FAX注文書をテーゼとして、電子帳票というアンチテーゼがあったとすると、発注書のデータ化というアウフヘーベンから電子発注システムというジンテーゼが生まれるということなのでしょう。
具体的には楽楽明細みたいなサービスだと思います。
名刺交換をテーゼとして、名刺検索をアンチテーゼとすると名刺管理システムというジンテーゼが生まれるのでしょうね。
具体的にはSansanなどの名刺管理システムみたいなサービスですかね。
弁証法とイノベーション発想はすごく似ていると感じた理由
このように弁証法を使うと新しい価値の創出が可能となります。
この考え方はよくイノベーションの話で言われる異なるモノを組み合わせることで生まれる新しいサービスに似ているように感じます。
入山章栄氏の講演で聴いた「知の探索」にも共通するように思いました。
まぁ、もしかしたら「ぜんぜん違うよ!」とツッコミされてしまうかもしれませんが・・・。
生き方を弁証法で考えてみる
具体的なビジネスやサービス以外にも弁証法は役立つといいます。
阪原氏は映画監督であり、経営コンサルであり、大学講師という多くの顔を持っています。
一見、なんの関連性もないと思われるこれらの幅広い知識と経験が「阪原氏」という独自性を構成しています。
このような多様性こそが、その人だけが持つ個性であり強みといえるのでしょう。
人の可能性はひとつだけではありません。
たとえば僕は情シスという職場で業務システムを考えたり、プログラミングをしたりしてます。
仕事以外であればワリと幅広い読書によって余計なウンチクを知ってますし、文章を書くのも好きだし、絵を描くこともできますし、それらの経験を組み合わせることで、理解しやすいプレゼン資料を作るのも上手くなりました。
また幅広い読書のおかげで人と会って話をする際にも話題が広がるので、面白い人という印象を持ってもらえます。
おそらく自分では弁証法という意識はしていなくても、多くの場面でジンテーゼを生んでいるのだと思います。
コロナ禍に限らず、それからはVOUCという不確実な時代になっていくでしょう。
そのような先の見えない時代にこそ、おそらく無意識におこなっていたであろう弁証法という考え方を、もっと意識的に、戦略的に活用するとジンテーゼを生み出すツールにすることができるだと思います。
人生100年時代は自分自身に新しい価値を作っていく時代でしょうから、弁証法を活用して「新しい価値」を見つけていきたいと思います。
ちなみに『小さくても勝てます』も非常に面白くて学びの多い本ですよ。