今回は赤羽雄二氏の著書「速さは全てを解決する ゼロ秒思考の仕事術」を読んでみました。
こんにちは!松田軽太です。
働き方改革が進む中で必ず課題として上がるのが「日本企業の生産性の低さ」ですね。
とくにホワイトカラーといわれる事務部門はもう非効率のカタマリのように言われています。
工場の作業は生産ラインという装置があるので、作業が効率的か非効率的なのか目で見て分かります。
それにくらべて事務処理はパソコン上で行うので、本人以外は今、どんな作業をしているのか分かりにくいですよね。昔のように伝票を書いたり帳簿に書いたりしていれば、なんとなくどんな作業をしているのか分かるんですが。
本書では仕事の生産性が低い理由を以下のように指摘しています。
・会議が多い、長い
・会議の参加者が多い。発言しない参加者も多数
・会議での差し戻し、再審議が多い
・会議以外でも、職場でダラダラとしたおしゃべり、打ち合わせが多い
・案件ごとに膨大な書類作成が要求される。つくり直しも多い
・上司の指示が曖昧な割に期待が大きく、何度もやり直しさせられる
・この業務で何を達成すべきか目標が曖昧なことが多く、時間をかけて解決しようとする
・上司が帰るまで帰りづらい職場が多く、仕事を短時間ですませようとしない、できない
・定時という概念が弱く、それまでに仕事を終えようという意識が乏しい
・サービス残業が多い。そのため、のんびり仕事をする
赤羽雄二氏の著書「速さは全てを解決する ゼロ秒思考の仕事術」より引用
う~ん…こうして具体的に書き出すと、たくさん課題がありますね。
実はここで挙げられている課題って沢渡あまね氏の「仕事の問題地図」で指摘されている内容と共通点が多くあります。
例えばその職場の役割が明確になっていないとか、上司が部下に過度の期待をしてしまい結果として部下の作った資料に満足できずに差し戻して作り直させる、といった問題が書かれています。
特に「速さは全てを解決する ゼロ秒思考の仕事術」では上司のザンネンさがたくさん紹介されています。
そう、なぜか上司は部下のジャマをしていることが多いのです。
もちろんワザとジャマしているのであれば、ただの嫌がらせでしかありませんが、多くの上司は良かれと思ってやっていることが、結果として部下のジャマをしているのです。
部下の作った資料の揚げ足をとりたがる
どういうワケだか上司は部下の作った資料に不満を持つ人が多いのです。
実際に僕が見たことがあるのは、とある部署で企画書を書いて上司に提出したところ、それを読んだ上司は怒り狂いだしました。
「おい!なんだこの企画書は! 誰がこんなことを書けと言った?
ちゃんと俺の言ったとおりに書け!
時間ばかりかけてこんな役に立たないもん書きやがって!
もう一度書き直しだ! いいか、明日の朝までに 書き直せ!」
・・・と、こんな風に怒涛のようにわめき散らしていました。
こういうシーンに出くわすと、他の人が怒られているとはいえ、なんだか聞かされているこっちまで落ち込んできますよね。
この時点で夕方だったので、この怒られていた部下は徹夜して、書き直すことになりました。
なぜこんなことになったのかといえば、もとはと言えば上司が部下に曖昧な指示しかしていなかったのが原因です。
「こんな風に」とか「アレと同じように」とかフワフワした指示をするので、部下は想像力を駆使して書くわけです。
しかしテレパシーでもなければ、他人が何を考えているのかなんて分からないので、結果としてかなり的が外れた文書になるのです。
ではなぜ上司の指示がフワフワしているのかというと、上司自身がどういう文書にすれば良いのか具体的なビジョンを持っていないからです。
そのため部下の書いた文書を読むことで、自分の中の漠然として考えと摺り合わせて、合致した部分と合致しない部分を確認することになるのです。
丁寧に仕事をやりすぎない
日本人気質なのかもしれませんが、僕自身もどんな仕事でもけっこう細部にこだわって仕事をする傾向があります。
「どんな仕事もでも丁寧に手を抜かずに作業するのが社会人だ」という風に教え込まれていました。
しかし、仕事というのはは全てが重要というわけではありません。
重要度が高く精度が求められる仕事もあれば、精度はそこそこで良いからスピードを速くすべき仕事もあります。
例えば支払い業務のように一円でも不一致があってはいけないような仕事もあれば、だいたいの大枠の見積もり金額を知りたいといった仕事もあります。
そのように各仕事のポイントを見誤ると、エラいことになります。
本書では、その例を床屋さんで説明しています。
ヘアカット専門店QBハウスは従来、1時間以上かかり数千円以上していた理髪店の仕事をわずか10分で1080円というサービスに置き換えることで大ヒットしました。
従来の床屋であれば顔ソリだとか洗髪だとかマッサージといった付加価値的なサービスを排除し、髪を切りたいという顧客の本質的な要求に応えるため、髪の毛をカットすることに特化したことで、時間も早くなり価格を抑えることが出来たのです。
もちろん世の中には時間を掛けてもフルサービスを受けたい人も居るし、そのサービスのためなら数千円くらいは惜しくない(=価値がある)という人も居ます。
そういう人は従来のフルサービスの床屋さんに行けばいいのです。
このように仕事というのは、時間をかけてでも質を重視すべきか、まずはスピードを重視すべきなのか見極める必要があります。
コツを掴むことで仕事は速くなる
仕事というのはこなしてナンボの部分の方が多いでしょう。
特に近年は成果主義という評価軸になりつつあります。従来のように滅私奉公して長時間、会社に拘束されることで「彼は根性がある」とか「彼は頑張っている」といった根性論での評価ではなくなりつつあります。
(まぁ、表向きには成果主義とは言いつつも、実態はどれだけ残業して頑張っているかが評価軸になっている 会社もまだまだ多いようですが)
こんな世の中なので、成果を上げるには仕事の数をこなすことも大切です。
では、どうすれば良いのかといえば、まずは各仕事の期限を明確にすることが大切です。
そして、それらの仕事をこなすには、どのくらいの時間(手間)が掛かるのかを想像で良いので試算して積み上げていくと「この仕事をこの日までに終わらせるにはどういう方法で仕事をすべきか」を考える習慣ができます。
できれば明確にするために「仕事の問題地図」で紹介されていた「インシデント管理表」に仕事内容や仕事の手順などを記録していくと、次に似たような仕事が来たときに、作業時間を見積もることができるようになるので、オススメです。
仕事を終えた際に、インシデント管理表に反省点や注意点を記録しておけば、より仕事の速度と精度をあげることもできるようになります。
仕事の優先順位を決めるには、重要度×緊急度で優先順位を算出することができます。
仕事を前倒しする
インシデント管理表を活用してくと、仕事の納期や難易度が把握できるようになります。
すると中にはすぐに出来るけど、ちょっと納期までに時間の余裕のある仕事があることに気がつきます。
そんな場合は「この仕事はすぐに出来るし、それにまだ納期に余裕もあるから、もうちょっと後にしよう」と先送りしないで、もし時間に余裕があるなら、すぐに片付けてしまいしょう。
その時点で作業量や作業日数に余裕があったとしても、明日になったら突発的な緊急性のある飛び込み仕事が入る可能性があります。
そういうことが積み重なると、余裕があるからと先送りした仕事の時間が十分にとれなくなる可能性もあります。
世の中、なにが起こるか未来のことは分からないのです。
そう考えると余裕があるときに、片付けられる仕事はすぐに片付けてしまいましょう。
PDCAサイクルを廻す場合もインシデント管理表が活躍する
よく「PDCAサイクルを廻しましょう」と言われますが、そうは言ってもなかなかPDCAを廻すって手間ですよね。
PDCAサイクルとは「PLAN=計画」「DO=実行」「CHECK=確認」「ACTION=行動」の頭文字をとった改善活動です。
実際のところ、PLANとDOはできる人は多いですが、CHECKとACTIONを行える人は少ないのではないでしょうか?
まずは何事もメモすることで考えがまとまり、思考や行動が可視化されます。
せっかく記録するならメモ書きではなく、インシデント管理表を記録しておけば、前回の反省点も把握できるので「前回は思ったよりもうまく行かなかったから、今回はこうやろう」と改善する方法を思いつきます。
これを繰り返していくとPDCAサイクルを廻すことになるので、徐々に仕事の精度と速度があがるようになるのです。
何事も記録することでの振り返りが大切なのです。
時間泥棒の会議を改善する
職場の中で最大の時間泥棒はなんといっても頻繁に開催される会議でしょう。
では会議の何が問題なのかを洗い出してみましょう。
- 誰も発言せずに無言の時間が多い
- 特定のおしゃべり好きな人だけが延々と話す
- 部長や社長といった上席者が同席すると、みんな上席者の顔色を見て本音で話さない
- 会議のテーマがあいまいで、好き勝手に話だして雑談会になる
- そもそも何のための会議だか分からない
- 会議とは名ばかりで実は部長や課長が決めたことを伝達するだけの会議で意見を言う隙がない
- ぜんぜん自分が関わりの無い会議テーマなのに念のためにと言われてサッパリ分からない会議を聞かされる
- たいていそういう会議では出番が来ることはなく時間だけが過ぎていく
- 何も決まっていないのに、時間だけが過ぎていく
- 拘束時間が長いことで、疲労感だけはあるので、なんだか働いたような気分になる
こんな経験は社会人であるなら誰もが一度は経験していることでしょう。
こういうザンネンな会議を変えるには、以下の方法が有効です。
- 会議の目的を明確化する
- 会議の資料は出席者に事前に配布しておく
- 会議時間をあらかじめ決めておく。
- 今まで中身の薄い2時間の会議であるなら1時間だと会議開始時に宣言する。
- 会議の参加者は必要な人だけに絞る
- 参加者が発言しやすい雰囲気を作る
- 異なる意見が出たら相違点を整理する。
まずは意見を言いやすい環境を作るのが第一です。だって会議なんですから。
会議室にホワイトボードがあるのであれば、活用しない手はありません。
本書ではホワイトボードの活用方法を以下のように説明しています。
- 会議リーダーがホワイトボードに発言を書き出す
- 変にまとめようとせずに発言はそのまま書き出す
- 意見の趣旨が分からない場合は発言者に意図を確認する
- 趣旨を汲み取って補完して書き出す
- 課題とアクションを整理する
- 論点のすれ違いはその場で一致点と相違点を図示する
特に発言内容を文字に起こすことで、意見を客観的に見ることができます。
それによって自分とは反対の意見であっても、冷静に考えることができるようになります。
ホワイトボードに書き出すことで意見が見える化できることが重要なのです。
また出した意見に基づいて、どのような行動を「いつ」「誰が」「どのようにして」行うのかを明確に決めておくと「それは○○さんがやると思っていたのに」と誰かがやってくれるだろうという甘えや他者依存を防止することができます。
もちろん次回の会議では、アクションの結果を確認することも大切です。
もし会議室にホワイトボードが無い場合は、パソコン画面をプロジェクターに投影して
メモ書きをみんなに見えるようします。
もしくはA4程度の携帯できるサイズのホワイトボードも売っているので、そういうものを活用する方法もあります。
上司に判断が必ずしも正しいわけではない
管理職になって実務から離れた上司の場合、注意しなければならないのは上司の知識が時代遅れになっている可能性です。
上司もかつては若手だったので実務をバリバリとこなしていたハズです。
おそらくその部署で大きな成果を出したからこそ、管理職に抜擢されたのでしょう。
そういうかつて実務をバリバリとこなしていた上司の場合、自分が実務をこなしていた時代の知識で判断しがちです。
それは上司自身の成功体験なので、強烈に記憶に残っているハズですから。
しかし現代は変化の速い時代です。
それまで常識だったことが、すぐに昔話になってしまうことも珍しくありません。
例えば最近ではslackやチャットワークといったビジネスチャットが普及しています。
プライベートでもLINEを使っていれば、その便利さが分かりそうなものですが、
上司が理解できるのはメールまでだったりします。
電子メールが使われだして20年くらい経っていますが、今、50歳の部長が20年前は30歳です。
そのくらいの年齢であれば、新しい道具を使うのもなんとかなりますが、50歳となると
なかなか新しい道具には馴染めないことも多いでしょう。
なので部下と上司の常識にギャップが生まれます。
部下にとっては昔話にしか思えないことでも、上司の中では、つい最近だったりするのです。
しかしその「つい最近」が20年前だったりすることを部下は認識しておく必要があります。
上司の欠点は未来の自分の欠点だと認識する
前述したように上司の常識が古いというのは、割とよくある話です。
部下は「また昔話かよ、今は時代が違うんだけどな」とうんざりするかもしれません。
しかし、そのうんざりする上司の姿は未来のアナタの姿かもしれません。
人は常に「自分が正しい」と思い込みがちなので、自分でも気がつかないうちに老害になってしまうのです。
未来の自分が老害にならないように、今から柔軟性を持った考え方をできるようにしておきましょう。
今の知識は時代と共に陳腐化するのですから。
このブログでは「働き方の問題地図」というテーマでも記事を書いています。
「仕事の問題地図」はこちらをご覧ください。
職場や仕事の問題を解決する方法をご覧になりたい方は下記の本がオススメです。
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