松田軽太のブロぐる

企業の情シスで働いています。会社の中では何をしてるのかナゾな職場の情シスあるあるなどや読んだ本のことなどを思いつくままに書いています。

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『業務システムを内製化する』ということは「作った人にも業務を安定稼働させる責任が伴う」という話

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今は2020年の5月ですが、外出禁止の自粛ゴールデンウィークも終わり、このまま無事に非常事態宣言が解除されたら、世の中はアフターコロナに向けて動き出すのでしょうね。

 

こんにちは! 松田軽太です。

(※ この記事、書いたことをすっかり忘れてて、今日、見つけてアップしたのでタイミングがおかしなことになってしまってます。スイマセンでした)

 

新型コロナウイルスが感染拡大する前までは、経産省の提唱していた『DX-2025年の崖』問題が大きく取り上げられていましたが、新型コロナウイルスへの対応で、ちょっと勢いが止まった感があります。

 

まぁ、確かに今は5年後のことより、今年をどう乗り越えるかという方が大事ですからね。

 

 業務システムを内製化するということ

 DX-2025年の崖で、多く取り上げられているのは数十年も塩漬けしていたレガシーシステムの再構築という課題でしょう。

 

ドイツ製ERPの保守期限切れ問題など、企業の基幹となるシステムが動かなくなるという大きなリスクがありますから。

 

しかし、それともう一つ、DX-2025年の崖で提唱されていたのが、ローコード開発ツールを活用した業務システムの内製化です。

 

むしろ中小企業の情シスにとっては、こちらの方がすぐに取り組むことができる内容ですね。

 

だが、しかし。

 

安易な気持ちで業務システムを内製化すると、後で大変なことになります

 

何が大変なのかというと、業務システムを作ったからには、そのシステムを使っている間は、ずっとそのシステムのお守りをしなくてはならないのですから。

 

 業務を取り巻く環境は変わっていく

 たとえば今だと新型コロナウイルスの影響で、人が集まらないように注意を払うようになりました。

 

ではそれが業務システムにどんな影響を与えるでしょうか?

 

アナタが総務から依頼されてお弁当発注管理システムを作ったとします。

 

以前、ブログ記事に書いたこちらのお弁当発注管理を例にして考えてみましょう。

 

 

新型コロナウイルスの非常事態宣言前であれば、お弁当は会社の食堂にすべて置いて貰えば良かったのですが、新型コロナウイルスへの対応で、ソーシャルディスタンスを意識する必要があると、蜜を避けるためにお弁当は各職場ごとにフロアの会議室などで分散して食べることになったとします。

 

すると、お弁当業者にもフロア単位にお弁当を分けて置いてもらわなければなりません。

 

さて、こうなると総務からお弁当発注管理システムを作ったアナタに、システム機能の改造依頼が舞い込むのです。

 

 

おそらくこんな会話が行われるでしょう。

 

総務「国からの要請で3蜜を避けることになってさ。経営陣からも、食堂が蜜にあたるから、各フロアごとにお弁当を食べろと指示されたんだよね」

 

アナタ「そうか、確かに食堂って蜜な場所だよね」

 

 

総務「だから、今すぐお弁当発注管理システムに、各フロアごとに分かれた明細を発注書を発行できるようにして!」

 

アナタ「いや、そんなことを急に言われても・・・」

 

総務「こっちだって悪いとは思ってるよ!でも経営陣からの指示だから、すぐにやって!」

 

と、押し切られることになるのです。

 

 改造による影響範囲を考える

 経営陣からの指示ということは会社の命令なので、さすがに断るワケにはいかないですよね。

 

なのでアナタは一年前に作ってすっかり忘れてしまっているお弁当発注管理システムをひっぱり出して、

 

・どんな機能への改造が必要なのか?

 ・その改造にはどんなデータ項目が必要なのか?

 ・その項目はマスタ化できるのか?

 

などなど、考えないとイケナイことが沢山、思い浮かぶハズです。

 

とはいえ、ここでパニックを起こすと、仕様漏れになってしまうので、まずは変更すべき内容を書き出しましょう。

 

①食堂以外だとどこで食べるのか?

 ②誰がどの部屋に分かれるのか?

 ③どうやってお弁当業者にお弁当を分けて置いてもらえるのか?

 

この辺りを明確化する必要があります。

 

まず①のどこで食べるかですが、ここは総務に決めてきてもらいましょう。

 

食堂、オフィスの席、会議室、応接室、といったところになるでしょう。

 

ということは「食事場所」という管理項目を増やす必要があります。

 

次に②の誰がどこで食べるかですが、これも総務に決めてもらいましょう。

 

蜜を避けるのが目的なので、社員マスタに先ほどの「食事場所」という項目を設けると良いでしょう。

 

さて③のお弁当業者に食事場所ごとに分けてもらう方法ですが、今までの発注書はお弁当のメニューごとの総数だけしか書いてありませんでした。

 

総数だけでは分けられないので、明細を発注書に出力する必要があります。

 

となると印刷フォームも改造しなければなりません。つまり帳票の設計が必要なのです。

 

業務システムを実際に改造してみる

 アタマで整理した改造要件に則って、実際に業務システムを改造してみましょう。

 

①社員マスタに食事場所という項目を追加する。

 ②明細データに食事場所という項目を追加して、自動で値を取得するようにする。

 ③発注書の印刷フォームに食事場所を出力する。

 

  業務システムの内製化は意外と大変

 今回はお弁当の発注管理という簡単な改造でした。

 

最悪、業務運用の開始に改造が間に合わなくても、数日くらいなら、手作業でも対応することは可能でしょう。

 

しかし、これが例えば購買システムとか在庫管理システムだったらどうでしょう?

 

今回のような新型コロナウイルスの影響で、普段、購入している材料が手に入らなくなり、初めての取引先に変わる可能性もあります。

 

すると仕入れの管理や支払いの管理も変わりますよね。

 

あるいは今までは商品在庫を一箇所で管理していたけど、新型コロナウイルス対策として、在庫場所を分散する可能性もあります。

 

こういったビジネス環境の変化に合わせて、業務システムも速やかに対応する必要があるのです。

 

ITベンダーが売っているパッケージソフトやERPであれば、こういう環境変化への対応もお金を払えば丸投げすることも可能です。

 

しかし、社内でアナタが内製して作った業務システムは、アナタしか改造できません

 

「これからは内製化の時代だ!」と言われてますが、内製化した場合、そのシステムを運用している間は管理するという責任が伴うことも意識しておきましょう。

 

 


 

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