ひとくちに情シスといっても、会社によって情シスのスタンスは大きく違います。
こんにちは!松田軽太です。
「感謝される情シスって何だろう?」とふと思ったのは、この記事を読んだからでした。
この記事ではローコード開発を導入して、業務担当者が必要とする業務システムを内製化しているというものでした。
業務システムを内製化しているか、すべてベンダーに丸投げしているかで、その立ち位置は大きく異なります。
嫌われる情シスとは?
まずは嫌われる情シスのパターンを考えてみましょう。
業務システムをすべてパッケージや外注して作ってもらっていて、システムの中身がブラックボックス化している場合は、軽微な変更であってもベンダーにお願いするしかありません。
とはいえ利用する側が「軽微な改造」だと思っていても、本当に他の部分に影響しないかどうかを調査しなければならないので、やはり人手が掛かります。
人が動くということはそれなりに費用がかかるものですから。
しかし、毎年毎年、コストダウンばかり要求される情シスは余計な費用をかけたくありません。
パッケージソフトやERPを使っていると、ちょっとした改造でも数百万円は軽くかかったりするので、その都度、稟議を通す必要もあるし、そのためには必要性を説明しなければなりません。
稟議書を出すと必ず一人や二人はネチネチと重箱の隅をつつく人も出てきます。
すると嫌な汗をかきながら説明しなくてはなりません。
これ、とてもストレスのかかる仕事です・・・。
だから情シスは業務部門から出される改造要求を門前払いしたがるのです。
こういうことが何度か続くと、業務部門から改造要求が出なくなります。
情シスに言ったところで、まともに取り合ってくれないと分かっているからです。
しかし、業務部門としては何とかして業務効率をあげたいので、VBAやACCESSやkintoneを使って自力でなんとかしようとします。
こういうパターンに陥ると業務部門と情シスの間に信頼関係なんて生まれるハズがありませんね。
かくして情シスのあずかり知らないところで、現場主導のシャドーITが増えていくのです。
感謝される情シスとは?
そりゃ〜、業務部門の相談に乗ってくれる情シスですよね。
でもどうすれば情シスは業務部門の相談に乗ることができるのでしょうか?
業務効率をあげるには、なにがしかの業務システムを作るための道具が必要です。
社内に開発ツールが揃っていると良いのですが、業務システムを内製化をする文化がなければ、そもそも開発のやり方が分からないということもあるでしょう。
イマドキはシステム開発の敷居が低いローコード開発ツールもありますが、安くても数百万円コースです。
それに業務システムの開発というのは、多分に経験がものを言う部分も多いものです。
いくら敷居が低いとはいっても使えるか使えないか分からない開発ツールを購入するための稟議書を情シス部長が承認するとは思えません。
内製化に慣れていないのであれば、極力、費用の掛からないツールを使ってまずは小さな内製化をやってみると良いでしょう。
とくに業務部門での困り事は「煩雑な沢山の集計作業を効率よくして、余計な仕事から人手を外したい」ということがほとんどです。
そのような小さなカイゼンであれば、Excel-VBAやRPAで解決できます。
そういう小さなカイゼンの積み重ねが業務部門と情シスの信頼関係を築いてくれるのです。
情シスにしても、そうした小さな業務システムを作る経験を積み重ねることで、内製化する勘所が培われます。
するとそのうちに沢山の人数で使う業務システムを作りたくなるし、そういう要望も増えていくでしょう。
そうなったらkintoneやFileMakerを使ってグループで使うシステムを作ってみると良いでしょう。
kintoneであればサーバーを用意する必要がないので手軽です。
FileMakerを使う場合はFileMakerサーバーでの運用になります。FileMakerサーバーを使えば数百人で利用する業務システムを開発することができます。
やる気になれば信州ハムさんのように生産管理のような基幹システムを作ることもできてしまいます。
いずれせよ費用が掛かるので、これらの有料ツールを利用するのは内製化する自信がついてからでも良いでしょう。
もっと大規模な業務システムを作るのであれば、リポジトリを管理できるツールにした方が良いです。
業務システムは作って終わりではなく、稼働してから運用保守という長い旅が始まるのです。
リポジトリを管理できるツールを使うと運用保守で効果がでます。
それなりに大規模なシステムを作れるローコード開発ツールで個人的に使ってみたいのはOutsystemsやWeb PerformerやWagbyやGeneXusやTALONかなぁ~なんて思います。
この中で価格的に一番リーズナブルなのはTALONでしょう。
そうそうTALONの要求変更に対する柔軟性を説明してくれる動画がありました。
TALONを開発されている古関氏ご本人が分かりやすく解説してくれています。
まぁ、どのツールが良いか好みもあります。
一度、各ツールをお試ししてみると良いでしょう。
ローコード開発ツールといっても随分と違うことに気がつきます。
Outsystemsは個人利用だと無料で使えるようです。
興味がある方はお試しくださいませ。
モード2の開発を手厚くする
生産管理システムや在庫管理システムや販売管理システムといった基幹システムはSoRとかモード1とか言われますが、要するに記録システムです。
(ちなみに「SoR」とはSystem of Recordsの略です)
要するに日々、発生する沢山のデータを正確に記録することが役割なのです。
それに対してSoEやモード2というのは、差別化システムです。たとえばその会社ごとの独自のノウハウが蓄積されているのは、業務部門のハズです。実はそれって会社の強みでもあるのです。
(ちなみに「SoE」とはSystem of Engagementの略です)
なので、このような差別化システムを構築する場合はローコード開発ツールは役立ちます。
何故なら会社独自の業務の場合、当てはまるパッケージソフトなんか存在しないからです。存在しないなら自分たちで作るしかありません。
そして世の中に存在しない業務システムを作るということは手探りになります。
であれば尚の事、作るのも直すのも得意なローコード開発ツールが威力を発揮するのです。
モード1とかモード2に興味がある方はこちらをどうぞ。
会社の事業を支援することができる情シスになろう
結局のところ「感謝される情シス」というのは、会社の事業を支援することができる情シスなのです。
評判の悪い情シスは、何か相談しても「○○がないからできない」というのが口癖になっている情シスなのでしょう。
どうせ情シスで働くなら、感謝される情シスでありたいものです。