今回は働き方改革に取り組んだらどうなるか?という話です。
こんにちは!松田軽太です。
「働き方改革」や「生産性」という言葉はニュースでは聞かない日がありませんが、そのお陰で僕の職場でも、ある日突然、会社方針に「働き方改革で生産性を向上する」というお題目が追加されていました。
会社方針というのは効果があるようで、あちこちの部署から「生産性をあげろ」という掛け声が聞こえるようになりました。
そして属人化を排除するために作業のマニュアル化が多くの部署で始まりました。
そんなある日、経理課の若手社員が「マニュアル作りのために業務の流れを整理したら、無駄な作業が多いと気が付きました。それを改善しすれば生産性が上がります。やっていいですか?」と経理課長に相談しました。
すると経理課長は「生産性があげるのが会社の方針だから、是非、すすめてくれ」と叱咤激励しました。
上司が承認してくれたので若手社員は、はりきって業務の洗い出しを行い、現行業務フローと新業務フローを書いて、改善すべきポイントをまとめました。
その若手社員が僕のところに「初めて業務フローを書いたんですが、書き方ってこれであってますか?これを見てわかりますか?」と相談しにきました。
その業務フローはつたなさはありましたが、まぁ、見れば業務の内容が分かるものに
仕上がっていました。
軽太「これスゴイね。こんなに無駄な作業を今までやってたんだ」
若手「そうなんですよ、せっかく会計システムにデータ入力してるのに、アチコチでExcelに手入力したり台帳に手書きしたりしてるんです。
そういうのって会計システムのデータを活用すれば、もっと効率化できるはずなんです」
・・・と経理の若手社員は目をキラキラさせながら仕事の改善策を話してくれた。
しかし、数日後にあった時、彼の目は死んだ魚のようになっていた。
軽太「あれ?元気がないけど、どうしたの?」
若手「本当はこの会社は働き方なんて改善する気が全くないってことが分かったんで、僕はもう何も言わないことに決めました」
軽太「え?何があったの?」
若手社員の話はこうだった。
まず経理課内で業務マニュアルをつくるために業務棚卸しすることになり、事前に各人の仕事を箇条書きしてもらい、みんなで作業の重要度を確認しました。
洗い出した作業を確認していると明らかに無駄だと分かる作業があり、若手社員が「この作業、明らかに無駄ですよね。どうせ作業を止めるんだったら、業務マニュアルなんか作っても無駄ですよね」と若手社員の今まで疑問に思っていたことを言ったのです。
しかし、その作業を何年も疑問を思わず続けていたベテラン社員が猛反発しました。
ベテランA「あのさー、ずっと私がやってた仕事を無駄無駄言うのやめてくれる?私はこの仕事をこうやってやると引き継いだから、ずっとこのやり方をしてるわけ。入社して数年のアンタにとやかく言われたくない!」
ベテランB「それに先輩のやってる仕事を無駄無駄言うのって失礼だよね?我が社の伝統的な仕事を否定するなんて常識的におかしいと思わないの?」
ベテランA「それにさぁ~、業務マニュアルだって、今の業務のマニュアルを作るって指示でしょ?なんでアンタが無駄だから作らなくていいなんて言うわけ?課長がそれで言い出しましたって言ったの?」
課長「え?・・・いや俺はその、彼が頑張るっていうから頑張れって言っただけで、詳しい内容までは知らなかったから・・・。
ではますは今の業務をそのままマニュアル化して、不要な作業があったら、そのマニュアルを廃棄することにします」
若手社員からすると、ベテラン社員から反論されるのは想定していまのですが、課長にすら見捨てられたのがショックだったのです。
・・・と若手社員の溜め息をつきながら言いました。
と、このように昔ながらの日本企業では、合理的に考えて無駄だと明らかに分かる作業ですら、捨てることが出来ないのです。
ちなみに課長があそこまで弱気なのは、ベテラン社員が取締役の親戚なので、後でチクられることを恐れたためです。
流行語の働き方改革を会社方針に入れたところで、部署任せにしていたら過去のしがらみや力関係で握り潰されてしまうんですね。
人間は合理的とが非合理的とかではなく、今まで習慣化している作業を続ける方が楽ですからね。
ましてや課長は若手社員のやり方に賛同するなら、守ってあげる必要があるんですが。
しかし、まぁ、自分の身の回りでもこういう事例があるんだから、まぁ、たくさんの企業でこういうことがあるんだろうし、簡単に働き方なんて改革できないんだろうと感じた次第です。
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