2021年3月にマイクロソフトが提供するRPAツール『Power Automate Desktop』が無償で利用できるようになりました。
こんにちは! 松田軽太です。
ちなみに3月のPAD祭りの様子はこちらに書きました。
まだ僕も使い始めたばかりですが、使ってみたことでPower Automate Desktopによる業務の自動化は効果があると確信が持てました。
ということで、これからPower Automate Desktopを使ってみようと思われてる人の参考になればと思い所感を書いてみたいと思います。
『Power Automate Desktop』は無料で使えるRPAツール
発表当初は「とうとうマイクロソフトが無料のRPAを提供するのか!スゲー!!」とIT界隈では祭り状態になりました。
ちなみに『Power Automate Desktop』だと長すぎるので、界隈ではPADと呼ばれています。
(ということで、ここから先は「Power Automate Desktop」をPADと略して書きますね)
それから3ヶ月ほど経ちましたが、Twitterを眺めていると賛否両論があるように感じました。
たとえばExcel-VBAを組める人からすると「なんかPADってVBAに比べると遅いよね」とか「無料版だとフローをコピーできないらしいぞ!それには有料版が必要らしい・・・」とか、様々な感想が上がっていました。
さて、それらの感想だけを見ると当初にくらべてPADへの期待が薄れているように感じてしまいますが、果たしてPADは便利なツールではないのでしょうか?
そんなことはありません。
Excel-VBAで出来ないこともPADでは出来るのですから。
「無料だからこそできること」がある
代表的なRPAツールは月額で5〜10万円くらいの費用が掛かります。
年間費用にすると数十万円~百万円という金額です。
銀行や保険会社や不動産会社や役所のように月に何千枚のも大量な申込書を業務システムに入力するような作業があれば、年間数十万円の費用をかけてでも費用対効果が出るでしょう。
しかし、月に数百枚程度の処理伝票しかないような会社からすると、なかなか費用対効果を見出すことはできませんでした。
僕自身も3年くらい前のRPAブームの頃から「RPAが使えれば今までできなかった業務改善ができそうだなあ〜」とは思っていましたが、稟議書を通すだけの説得力を盛り込むことまでは出来ずにいて、指を咥えているような状態でした。
そんな折にPAD無償化のニュースを見たので、また沸々とRPA使ってみたい欲が湧きました。
しかし、一つ問題がありました。
「あれ?ところでPower Automate Desktopってどうやって使うんだ??」
そもそもPADの使い方が分からない
ぶっちゃけた話、まだPADの書籍がみつからないので、そもそも使い方が分からないのです。
よく「RPAはノーコード開発だから誰でも簡単に使える」なんて言われてますが、それは使い方のお作法を理解できてからの話です。
いくらノーコード開発でも、基本的な使い方が分からないのでは、何にもできません。
まずは『吉田の備忘録』を見てみよう
では、どうやってPADの使い方を探したのかというと『吉田の備忘録』というサイトに基本的な使い方が説明されてました。
なんせ吉田さんはマイクロソフトの中の人なので、情報の信頼性が高いのもポイントです。
特に参考になったのが、You Tube動画での、古臭いアプリの更新方法です。
下記の動画の1時間28分あたりからご覧になると参考になると思います。
まずはこれをそのまま真似てみるのがオススメです。
もうホントにこの動画をそのままやってみてください!
それは何故かというと僕なりにRPAを効果的に使える場面を考えた結果、そう思ったのです。
Excelを自動化で操作するならVBAの方が圧倒的に速い
Excel-VBAができる人からすると、VBAの方が圧倒的に処理が速いし、動作も安定していますし、自分が思う通りに動かすことができます。
なのでVBAが使える人がExcelの操作をするために無理にPADを使う必要もないように思います。
もちろんVBAはノーコード開発はできません。
「まだVBAはよく知らないけどExcelを自動化したいからPADを使ってみたい」という選択肢もあるでしょう。
PADであればノーコードですからVBAよりは学習時間が少なくて済むでしょう。
しかし「作業の自動化をしたい」と考えた場合、こだわるべき部分はコードを書くとか書かないではないと思うのです。
本質的には「作業をロジックとして考えられるかどうか?」です。
何故ならPADで作業を自動化するには、一つ一つの動作を裁断して、アクションというPADへの命令に変換する必要があるからです。
PADを使って業務システムへの入力作業を自動化する
ということで「職場でPADを活かせる作業は何だろう?」と考えた結果「基幹となる業務システムへの自動入力が良さそうだ」と思い至りました。
職場で使っている業務システムはパッケージソフトなのですが、データ項目にパッケージ全体で管理するID番号の項目があり、それは業務システムの画面から入力しなければ採番できず、その番号がないと正しく動作しないという事情があったのです。
入力するデータ数は一回の入力で500レコード程度を週に一回入力するので、せいぜい2000レコードです。
今まではそれを手入力していました。それしか術がなかったからです。
さらに外部環境も変わってきました。
もともとは郵送で得意先から送られてきていた伝票や帳票も、このコロナ禍のご時世なので電子データ化が進みました。
アナログ伝票が電子化されたこともPADでの自動入力が可能になった理由の大きな要因でもあります。
何事もタイミングというものがありますね。
それらのデータをPADで入力しやすいようにVBAで加工しました。
で、前述の『吉田の備忘録』で紹介されていた「Excelから古臭いアプリへデータ入力する」のフローが、ほぼそのまま使えました。
なお「古臭いアプリ」は下記から入手できます。
PADで500レコードを入力するのに掛かった時間は約1時間。
人が手入力するよりも3倍くらい速く仕事をしてくれました。
お金のかかる基幹システムのカスタマイズをPADで回避する
この手作業、以前からなんとかならんかと言う話は出ていましたが、パッケージソフトにデータ取込み機能をカスタマイズで追加すると百万円以上の費用が掛かる見積もりがベンダーから出されました。
そのカスタマイズで業務改善できる効果はせいぜい月に10時間。
年間でも120時間です。
百万円以上の費用を回収する効果を得るには数年掛かるということで諦めていた自動化だったのです。
こういう今までなら費用対効果が出ないという理由で諦めていた業務自動化も、PADを上手く活用すると費用をかけずに自動化できるようになるのです。
PADがせっかくの無償で使えるようになったのですから、自社の中で効果のありそうな使い途を検討してみると、案外、あるかもしれません。
ハマればラッキーですから。
そして万が一、ハマらなくても無償で使えるので、諦めることもできます。
有償のRPAだったら「もう買っちゃたんだから、何が何でも使えるようになれ!」ってプレッシャーが掛かります。
それがないだけ実証実験する側としては気が楽というものです。
ちなみにAS400やメインフレームもPADでイケるようですよ。
こちらを読んだところ、AS400みたいなオフコンやメインフレーム系もイケそうですね。https://t.co/mqzVC6Hu48 pic.twitter.com/TPPRp5wCTD
— 松田軽太 (@matudakta) 2021年6月4日
待望のPower Automate Desktopの書籍が販売されます
さて、朗報です!
Power Automate Desktopの書籍が販売されます。
著者はTwitterでおなじみのあーちゃん | 昭和企業の事務屋→IT企業 @aachan5550 です。
皆さんにご報告が‼️
— あーちゃん | 昭和企業の事務屋→IT企業 (@aachan5550) 2021年5月19日
なんとPower Automate Desktopの初心者向け操作書籍を作成中です!
本で必死にRPAを独学していた2年前こんなことは想像できませんでした。
ずっと応援してくれた方、チャンスをくれた方、いまから勉強して人生を変えたいという方に感謝の気持ちをのせ精一杯のものをお届けしたい! https://t.co/nTgr9geJa6 pic.twitter.com/m6EKgiN4KP
ちなみに「
まぁ、なんにせよまずは気軽にやってみることです!
下記はググってみたら見つかったPAD本です。
僕は一番上の『Power Automate Desktop入門』を購入して参考にしました。
このブログを読んで「RPAってなんぞや?」と思われた人もいるかもしれませんね。
こちらの本はPADに詳しい「株式会社ASAHI Accounting Robot研究所」の方が書かれています。特に中小企業での活用方法について書かれています。
こちらの本は「ひとり情シスがRPAをローコード開発として活用すると効果絶大」という内容になっています。
僕も読みましたが、非常に参考になりました。